Apr 05, 2017

インタビュー

20%を割った『ひよっこ』が黒ひげを飛ばしてしまうのか?!常に「黒ひげ危機一発」の気分で挑むという朝ドラ舞台裏について、NHKドラマ部部長に聞いた【前編】

毎週月曜日に一人死んで、土曜日に犯人が見つかるみたい作品はまだない

 

──そんな体験を経て、『梅ちゃん先生』(12年)以降、朝ドラの視聴率は20パーセント台をキープしているので、気持ちが楽ではないですか。

いや、みんな、苦しみながら作っていますよ(笑)。いろんなところで言っていることですが、『ひよっこ』が始まって、次は『わろてんか』で、その次が『半分、青い。』。その次の次ぐらいまではなんとなくプロデューサーのラインナップがあるわけです。そうするとみんな、自分のところまで大ヒットで来るのがイヤなんです、次の責任が重くなるから(笑)。それをプロデューサーたちは「黒ひげ危機一髪ゲーム」と言っているようです(笑)。前のプロデューサーがナイフを刺すところをじーっと見て、ガチャッと刺して、「あ、こけなかった」となって、いよいよ自分のところにナイフが回ってくるときの恐怖といったらありませんよね。しかも刺すところがだんだん減っていくんですよ(笑)。「こういう企画どうですか?」「いやあ、それは5年前にやったなあ」「こういう企画どうですか?」「それは7年前にやったなあ」みたいな(笑)。そういうふうになり、だんだんみんな「自分がいつ黒ひげを飛ばすか」みたいに戦々恐々となっているみたいですよ。もちろんヒットしていない時代に担当した人間もみんな苦しかったですけど、ヒットが続く中で担当するのも苦しいものですよね。

──そんな中で、遠藤さんが岡田さんともう一度朝ドラをやりたいと思われたと。

そうですね。岡田さんとは『ちゅらさん』でご一緒していたこともありますし、その前にも一本一緒にドラマをやっていて、すごく信頼しているというのがひとつと、大体多くの脚本家は一回朝ドラやると「もう勘弁してください」というふうになる方が多い中、岡田さんは「もう一回やれるんじゃないか。もう一回やれそうな気がする」みたいな感じのことをもともとおっしゃっていて。『おひさま』(11年)を終えた直後はさすがに「いや、もう2回やったからいいよ」という感じだったのが、しばらくすると「またやってみようかなあ」となってきたんですよ。岡田さんご自身も「僕、朝ドラ向いているんじゃないかな」とおっしゃっているくらいですし、とても向いていると思います。

──朝ドラが向いている脚本家というのはどういう資質ですか?

まず、セリフでストーリーを運べる方でないとちょっと厳しいとは思います。ダイアローグである程度長いシーンを書けて、もうひとつは、家族関係とかに興味のある方ですね。例えば「社会問題を訴えることに全精力を注ぎます」とか、「やっぱり殺人事件が起きないと盛り上がらない」と考えるタイプの方、まあ、そんな方はいないですけど(笑)、例えばいたとしたら、ちょっと朝ドラは難しいんじゃないかなと思います。

──『朝ドラ殺人事件』というドラマがありましたが、朝ドラ自体で殺人事件は起こることはありました? 今まで。

いや、どうですかね? 「一回もなかったか」と問われるとわからないです。朝ドラは相当いろんなことをやってきているので。一回ぐらいあったかもしれませんよ。でも、例えば「毎週月曜日に一人死んで、土曜日に犯人が見つかる」みたい作品はまだないですね。

──主人公のお父さんが警察官で日夜事件が起きている朝ドラはいかがでしょうか(笑)。

いやあ、月曜日に殺人事件が起きて「誰が犯人なんだろう」と思いながら土曜日まで過ごす時間はかなり長いと思います(笑)。

──15×6だから、1時間半ですが。

90分番組で見る分には大丈夫なんです。でも、毎日15分ずつで、体感時間としては、まる一週間じゃないですか。

──やはりタイムラグなく事件は解決してほしいから、殺人事件じゃなくとも翌日事件解決となるわけですね。
台本は一週間分で一冊なので、一週間で1エピソードという感覚かと思っていました。

あくまで156話のドラマですが、台本がそんなにあったら扱うのも大変ですから、便宜上、一週間一冊にまとめています。だからと言って、一週間できっちり話が始まって終わらなきゃいけないというわけでもないんです。水曜日に一旦話が終わって木曜日から次の話が始まっても一向に構わないということですね。

──15分で完結させながら、月曜日から土曜日まで視聴者になんとなく繋がりがあるように見えているということでしょうか。

はい、まさに。