- 平野:
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最初はさておき、番組が始まった後の評価はどうだった?
- 日髙:
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声優デビュー直後に『よろしくメカドック』(1984年)でお世話になった音響監督(録音ディレクター)の清水勝則さんに「あれは誰がやれって言ったの?」って聞かれたのがとても印象に残っていますね。自分から申し出たことを伝えるとホッとしたように「良かった~」って。
- 平野:
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それは、自分に見抜けなかったノン子の才能を、ほかの音響監督が見出したわけじゃない、という意味の「良かった~」よね。
- 日髙:
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はい。その後、斯波さんにも「良かった! アニメ自体も良かったけど、あなたも良かった!」ってお褒めいただいたんですよ。すごくうれしかったですね。
- 平野:
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少年役を演じるに当たって、ノン子はどういうところに気をつけていた? あるいはどんなことを注意されていた?
- 日髙:
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肩に力を入れて喋っているわりに、語尾だけは甘く(女性的に)なってしまう傾向があって、そこは何度も指摘されました。特に「~~だよ」とか「~~だね」というセリフではそれが顕著に表れてしまうそうで、『ピーターパンの冒険』の最初の方はセリフを全部「~~だ」みたいな感じに書き換えられてしまいました。今にして思うと、1年続く作品で本当に良かった。じっくり時間をかけて少年役を身につけていくことができましたから。
- 平野:
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そしてその翌年には『ふしぎの海のナディア』(1990年)でも少年役(ジャン役)をやることになったのよね。
- 日髙:
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ジャンは、ピーターパンとは逆に、洋画のように、肩に力の入らない演技で少年をやってみようと考えてああいうかたちになりました。おかげさまで、その後は『炎の闘球児 ドッジ弾平』(1991年・一撃弾平役)など、少年役の方がむしろ多くなっていくんですよ。
- 平野:
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やっぱり女の子役を演じるのとは違う?
- 日髙:
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女の子の役をやるときは、一度、自分の中に入れてから出すというプロセスで演じるんですが、男の子の時は、そもそも性別が違うので、自分が客観的に見て、良いなと思うキャラクター像を表現するようにしています。胸を打たれるひたむきさとか。ちょっと変わったやり方かもしれません。
構成・文 / 山下達也 撮影 / 根田拓也
日髙のり子(ひだか のりこ)
東京生まれ。児童劇団を経てアイドルデビュー。タレント活動中に代表作でもある「タッチ」浅倉 南役でブレイク。現在アニメはもとよりナレーションNHK-BS「COOL JAPAN」・フジテレビ「ミライ☆モンスター」他、ラジオでは 文化放送「ノン子とのび太のアニメスクランブル」は長寿番組に、NHK人形劇「新 ざわざわ森のがんこちゃん」は20周年に。 出演作:「名探偵コナン」世良 真純 「PSYCHO-PASS」ドミネーター 「となりのトトロ」サツキ 他
2018年4月スタートのドラマ『声ガール!』(ABC・テレビ朝日) 出演!
古川登志夫(ふるかわとしお)
7月16日生まれ、栃木県出身。青二プロダクション所属。1970年代から活躍を続け、クールな二枚目から三枚目まで幅広い役を演じこなす。出演している主なアニメーション作品には、TVシリーズ「機動戦士ガンダム」(カイ・シデン役 1979~80年 テレビ朝日)、映画・TVシリーズ「うる星やつら」(諸星あたる役 1981~86年 フジテレビ)、映画・TV「ドラゴンボール」シリーズ(ピッコロ役 1986~ フジテレビ)、映画・OVA・TVシリーズ「機動警察パトレイバー」(篠原遊馬役 1989~90年 日本テレビ)、映画・TV「ONE PIECE」(ポートガス・D・エース役 1999年~)など多数ある。
平野文(ひらのふみ)
1955年東京生まれ。子役から深夜放送『走れ!歌謡曲』のDJを経て、’82年テレビアニメ『うる星やつら』のラム役で声優デビュー。アニメや洋画の吹き替え、テレビ『平成教育委員会』の出題ナレーションやリポーター、ドキュメンタリー番組のナレーション等幅広く活躍。’89年築地魚河岸三代目の小川貢一と見合い結婚。著書『お見合い相手は魚河岸のプリンス』はドラマ『魚河岸のプリンセス』(NHK)の原作にも。