Mar 03, 2018 interview

『タッチ』浅倉南役・日髙のり子の声優道 アイドル歌手から国民的ヒロインへ

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レジェンド声優インタビュー 日髙のり子[国民的ヒロイン編]

arranged by レジェンド声優プロジェクト

アニメ黄金期の立役者である「レジェンド声優」と、自らもレジェンドである声優・古川登志夫さん、平野文さんによる濃密トークをお送りするレジェンド声優インタビュー。2018年のトップバッターは、80年代に日本中の男子が「彼女にしたい!」と願った国民的ヒロイン・浅倉南を演じた日髙のり子さんです! ヒロインから少年役、お母さん役とマルチに活躍する日髙さん、そして百戦錬磨の大ベテラン・古川さんですら困惑したという“例の作品”についても語っていただきました!!

演技派声優・日髙のり子もデビュー当初は怒られ続けていた?

古川登志夫(以下、古川)

今回のレジェンド声優インタビューは、日髙のり子さんにお越しいただきました。

日髙のり子(以下、日髙)

よろしくお願いいたします。「レジェンド」ですか。ちょっと恥ずかしいな~(笑)。

平野文(以下、平野)

年齢的には、ノン子(編集部注:日髙さんの愛称)は、まだ「レジェンド」というほどではないかもね。

古川

でも、実績的には文句なしに「レジェンド」。それに、声優になる前にはアイドルとしても活躍されていましたからね。実は、日髙さんがアイドル歌手として活躍されていた頃に、NHKの歌番組「レッツゴーヤング」で共演しているんですよ(編集部注:古川さんは、声優によるバンド「スラップスティック」のメンバーとして出演)。

平野

片やアイドル声優のはしりとして、片や売り出し中の歌い手さんとして、同じステージに立っていたのね。

日髙

そうそうステージと言えば、その後、『タッチ』(1985年)のキャラクターソングを出させていただくことになったとき、文さんのステージを参考にしなさいって、名古屋の公演を観に行かせていただいたことがありましたよね。公演後に一緒に食べた味噌煮込みうどんの味は忘れてませんよ(笑)。

平野

よく覚えているわね~(笑)。

日髙

ステージに上がった文さんが扇をひらひらさせながら「うちはダーリンが一番好きだっちゃ♡」って歌い始めると、会場が低い声で「うおおおおおおおおおおお!!」ってなるんですよ。アニメファンの盛り上がりをみたのは、それが初めてでしたね。勉強させていただきました。

古川

日髙さんは、アイドル歌手出身ということもあって、演技にも気持ちの良いリズム感があるよね。『蒼き伝説シュート!』(1993年)で初めて共演した時、演技巧者だなぁって感心したもん。

日髙

私が初めてヤンキー役をやらせていただいた作品ですね(笑)。ケンカっ早いし、チームの男の子を怒鳴りつけたりする荒っぽいキャラクターなんですけど、古川さんの演じた久保先輩の前だけは乙女になっちゃうんですよ。でも、古川さんにそんなふうに思っていただけていたのはうれしい!

平野

そうした演技巧者なところは、もう『タッチ』の頃から開花していたのかしら?

日髙

(首を大きく振りながら)いえいえいえいえいえ!  『タッチ』をやっていた当時、私が、主演の三ツ矢雄二さん(上杉達也役)から怒られ続けていたのは、すごく有名な話なんですよ。

古川

え? 三ツ矢に怒られていたの?

日髙

私が何度も失敗して録り直しになるせいで、テンションを維持するのが大変だったみたいです。私の演技がOKをもらえたカットが、三ツ矢さんにとってベストではないということが多くて、それがストレスだったと後で言われました(笑)。

古川

当時は一部だけを抜き録りしたりはできなかったからね。

日髙

とは言え、新人だったということを抜きにしても『タッチ』は難しい作品だったなって思います。キャラクターの思いを短いセリフに乗せて表現しなければいけないシーンが多くて、三ツ矢さんですら苦心されたそうですから。そんな中、たまに私が三ツ矢さんをドキっとさせるような良い演技をすることがあったらしくて、そのときはほめてもらえました。直後に「でも1万回に1回よ!」って念を押されましたけど(笑)。