Sep 14, 2016 interview

芝居も一度「音楽」に翻訳するのが“ハマケン流”
映画『闇金ウシジマくんPart3』 浜野謙太インタビュー

A A
SHARE
1p

 

昨年惜しまれながら解散したバンド「SAKEROCK」を経て、自らボーカルとリーダーを務めるファンクバンド「在日ファンク」でミュージシャンとして活躍する一方、NHK朝ドラ『とと姉ちゃん』や月9ドラマ『好きな人がいること』では、そのユニークかつ独特な存在感でお茶の間の人気を集めている、“ハマケン”こと浜野謙太。今月公開の映画『闇金ウシジマくんPart3』ではカリスマ実業家を好演ならぬ怪演している。ジャンルを横断して活躍中の浜野謙太に、ミュージシャンであること、俳優として演じること、表現者であることについて聞いた。

 

“天生ポーズ”が楽しくって
何度も登場させてしまいました(笑)

 

――初のヒール役ですね。この役を引き受けた決め手から教えてください。

ウシジマくん、すごく好きで読んでいたんです。天生翔は悪役と呼んでいいのか微妙なところですけれど、悪いキャラクターはいままであまり演じてきていないので、声をかけていただいて、すごく嬉しかったですね。

――役者としての幅が広がりましたね。

自分では始終気になっちゃいましたけど。こういう皆をひっかきまわす役って、頭が良く見えないと全然説得力ないなって。そこが一番難しかったですね。これまでは“どんだけバカなことができるか”っていう役が多かったんで(笑)。

――参考にした人物って、いるのでしょうか。

監督から「こんな感じがいいんだよね」と観せていただいた動画を参考にしました。有名な予備校の先生なんですが、早口で声が高くて、言葉の間隔を開けずに、人を論破しそうな話し方を参考にしました。とにかく、理詰めですね。断定的に畳み込んでいくような“言葉の洪水”を意識しましたね。セリフも完璧に出てくるようにしました。実際の撮影では詰まったこともありましたけど(苦笑)。

 

(C)2016 真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会

(C)2016 真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会

 

――本郷奏多さんとの絡みでは、息がぴったりでしたね。

本郷君は本当に気弱そうな青年を演じていたので、自分とのミスマッチ感が本当に面白くて、本番ではお互いの世界観をぶつけ合うのが楽しかったですね。音楽のセッションみたいな感じで。

――演じることを楽しめていたんですね。

はい。特に“天生ポーズ”は、原作では1回くらいしか登場しないんですけど、1回やったら、すごく楽しくなってきちゃって、何度もやってしまいました(笑)。

 

hamaken_1

 

負けたんです、チ○コに。
でもそれを上回る表現を目指しています

 

――役づくりをされるにあたって、天生はどんな人物だと理解されましたか。

天生のカリスマ性は、本人も自覚してエンタメとして演出している部分が大きいので、役作りを構築するというより、音楽のライブのつもりで挑みましたね。どうしたらエンターテイメントとして、威圧感やカリスマ性を感じさせられるのかをいつも意識しました。アドリブで女の子たちとぼそぼそと話すシーンでも、なるべく高圧的な感じを出すために、否定から入る感じで行きましたね。「好きなものは何ですか?」と聞かれても「そんなものはない」とかね。「好きな色は何ですか?」「無色」とか(笑)。

――“音楽のライブのつもりで”というのは、どんな感じですか?

もともと音楽をやっていたので、お芝居をしているときも、「音楽だとこんな感じなのかな」って、一度「音楽」に翻訳している部分があるかもしれません。そのへんは、わりとごっちゃにしていますね。それでも(芝居の)お仕事いただけるのが、ありがたいと思っています。例えば芝居で、セリフの掛け合いでヒートアップしていく感じも音楽のセッションみたいだし、お芝居もバンドやっているつもりでやっているところがあるかもしれません。 今回で言うとラストシーンは難しかったのですが、もう(自分が)ステージに上がった、ジェームス・ブラウンかっていうくらいの気持ちで挑んでます(笑)。あのシーンでは、ミュージシャンでライブをやっているときの感じとかぶりましたね。ライブ会場がだいぶ温まって、自分の中でも感情が高まってきて、「この曲を聴いてくれ!」っていう勢いでメッセージソングを歌うときがあるんですよ。その時のライブを感じながら、演じました。

 

hamaken_2

 

――具体的に「あのライブのあの時のテンション」と感じたライブはあるのでしょうか。

ありますね(笑)。昔、初めての全国ツアー、確か最後、徳島のちっちゃいライブハウスだったと思うんですが、各地でライブを重ねたことで、自分たちのバンド演奏に対する自信が最高潮に達してしまったんでしょうね、「たとえ俺が全裸になっても、みんなは音楽を聴いてくれるはず」っていう妙な自信が沸いてきたんですよ。で、ライブの最中に、全裸になったんです。

――えっ、文字通り、一糸まとわず?

チ○コ出して(笑)。そしたら、みんな本当にそっちばっかり見て、しかも携帯で写真を撮り始める人までいて、全っ然、音楽を聴いてくれなくなって、、、、。ショックでしたねえ。「いまからそのインパクトすら忘れさせてやるぜ!」と思って全力で演奏しましたけど、ダメでした。負けたんです、チ○コに。でもその思い出にも「いつか勝ってやる!」と思ってステージに上がっています。そうやって、常に戦っています。何とかひっくり返してやろうって。