Nov 03, 2019 interview

俳優というよりダンサーという意識がある―ウィレム・デフォーが語る独自の演技論、芸術からの影響

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キャリアの転機作、影響を受けたもの

――この作品では、ゴッホが南仏のアルルで自分のアートに“開眼”したことも描かれますが、あなたの俳優の大きなターニングポイントはいつですか? 日本では1984年の『ストリート・オブ・ファイヤー』で注目が集まりましたが…。

たしかに『ストリート・オブ・ファイヤー』は僕にとって初めてのメジャースタジオでの映画だった。とても重要な作品で、素晴らしい時間を過ごしたよ。でも、そのウォルター・ヒル監督が僕を呼んだのは、キャスリン・ビグロー監督の『ラブレス』(82年)を観たからだ。とても地味な作品だけど、僕のキャリアのきっかけを作ったとも言える。そういえば先日、ウォルター・ヒルと新たな企画について話したところなので、楽しみにしておいてよ(笑)。

――では、自分以外の作品で大きな影響を受けたものは?

それは難しい質問だな。答えると、意識過剰に思われそうだし…。映画も好きだけど、より影響されているのはアートギャラリーやダンスのパフォーマンスかもしれない。これはよく話すけど、僕は俳優というより、ダンサーという意識があるんだ。演技というものは、すべて肉体の動きであり、肉体としてのインテリジェンスや、本能が重要になる。舞台の基礎を学んだから、そう思うのかもしれない。僕はプロのダンサーではないけれど、かのミハイル・バリシニコフと同じ舞台で少しだけ踊ったこともあるよ。ロバート・ウィルソン演出の『The Old Woman』という作品だ。バリシニコフとは顔が似ているので双子の役だった。僕の方が背が高く、そして若いけどね(笑)。

――“人”として刺激や影響を受けているのは?

女優ではイザベル・ユペールかな。あとは僕がニューヨークで過ごした時代の、ダウンタウンのきらめく才能たち。トリシャ・ブラウン(60年代以降にNYで活躍した革新的ダンサー・振付家)なんかが思い出されるね。

――『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(17年)に本作と2年連続でアカデミー賞ノミネートと、このところキャリアが絶好調です。自分でも“いい流れ”を感じているのですか?

特定の作品や、特定の役が要因ではなく、あくまでも、いい流れに乗っている感じは自覚している。若いころは悪役が続くと、まったく違う役を演じても、悪役のイメージで見られてしまうこともあった。固定観念というものだね。最近は若い世代も含めさまざまな監督と仕事をしているし、大作から小さな作品まで規模も幅広く、主役や脇役に関係なく取り組んでいる。善人もあれば悪人の役もある。だからつねに新作で、気持ちを新たに演じている感じなんだ。次に控える『The Lighthouse(原題)』(A24製作、『ウィッチ』のロバート・エガース監督作)もとても満足しているし、以前に組んだ人との次回作も待っていたりする。周りからも言われるとおり、本当にいまは俳優人生でいい時期なんだと実感しているよ。

取材・文/斉藤博昭
撮影/三橋優美子
ヘアメイク/AZUMA(M-rep by MONDO-artist)

プロフィール
ウィレム・デフォー

1955年、ウィスコンシン生まれ。NYを拠点とする実験的な劇団ウースターグループで活動後、『天国の門』(80年)で映画デビュー。『ストリート・オブ・ファイヤー』(84年)で注目を集め、『スパイダーマン』(02年)、『アンチクライスト』(09年)、『グランド・ブダペスト・ホテル』(14年)など100本以上の映画に出演。『プラトーン』(86年)、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』(00年)、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(17年)でアカデミー賞助演男優賞に3度候補入り。本作でヴェネチア国際映画祭男優賞を受賞し、アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされた。

公開情報
『永遠の門 ゴッホの見た未来』

パリではまったく評価されなかったゴッホは、「新しい光をみつけたい」と南フランスのアルルへ向かう。まともな人間関係が築けずつねに孤独なゴッホ。才能を認め合ったゴーギャンとの共同生活もゴッホの衝撃的な事件で幕を閉じることに。あまりに偉大な名画を残した天才は、その人生に何を見ていたのか――。
監督・脚本:ジュリアン・シュナーベル
脚本:ジャン=クロード・カリエール
出演:ウィレム・デフォー、ルパート・フレンド、マッツ・ミケルセン、オスカー・アイザック、マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ
配給:ギャガ、松竹
2019年11月8日(金)公開
© Walk Home Productions LLC 2018
公式サイト:https://gaga.ne.jp/gogh/

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