- 銀河:
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1979年に放送された『機動戦士ガンダム』の時のギレンは、既に大きな野心を抱いていて、父に取って変わろうとする気が満々だったと思うんですね。もちろん、それは『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のギレンにもあるんですが、それが見え隠れしてしまう「青さ」みたいなものをどこかで表現したいなと思っていました。
- 古川:
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キシリアとのやり取りのあと、素に戻ってボソっと漏らすあたりがそれだよね。
- 銀河:
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そうかな……そうなのかも。でも、実はまだ、それがどこなのか、セリフの中にヒントを探しているという段階です。
謎その4:自分に一番似ているキャラクターは誰?
- 平野:
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続いて、ギレン以外の役についても聞いていきましょう。銀河さんの演じた人気キャラクターと言えば、『北斗の拳』(1984年)のサウザーも有名よね。
- 銀河:
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それまでも敵役、仇役はいろいろやってきましたけど、あんな金髪碧眼のカッコいいキャラクターをやらせてもらったのは初めてでしたよ。私の演じる役は大抵、筋骨隆々で真っ黒い服装の厳つい大男って感じでしたから(笑)。初めて見た時は本当に私でいいのかって思ったくらい。
- 平野:
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そして、そのサウザーがここにきて、ギレンと同じように復活しましたよね(サウザーを主人公とした、スピンオフギャグアニメ『北斗の拳 イチゴ味』が2015年に放送)。しかも、まさかの三枚目扱いで(笑)。古川さんのあたる(『うる星やつら』)もそうだけど、普段は二枚目キャラクターを演じている人が、突然、三枚目の演技を見せてくれると、演技力の幅を感じるわよね。
- 古川:
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普段が重厚な役ばかりだから、なおのことおもしろいんだよ。
- 平野:
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だから、やらせてみたいって気持ちはすごく分かるわよね。……ご本人的には、三の線、いかがでしたか?
- 銀河:
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いや、実際の私がかなりのそこつ者ですからね。そこには全く違和感がなかったです。
- 古川:
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そういう役を依頼されることにも抵抗はなかったの?
- 銀河:
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全くありませんでした。というか、依頼された時は『北斗の拳 イチゴ味』がどういう作品か、よく分かってなかったんですよ。まさか、あんな作品だったとは……(笑)。
- 古川:
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銀河さんが、ああいうコメディタッチのキャラクターをやるのって、これが初めてなんだっけ?
- 銀河:
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厳密には『まおゆう魔王勇者』(2013年)が先じゃないかな。ギャグキャラというわけではないんだけど、やたら女の子にちょっかいをだすスケベさと、戦いの時の頼もしさの落差が大きい、執事(老弓兵)をやらせていただきました。
- 平野:
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先ほど、そこつ者だから三枚目キャラを違和感なく演じられたとおっしゃっていましたけど、ご自身の性格に一番近いと思われた役ってありますか?
- 銀河:
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『MONSTER』(2004年)の18話「五杯目の砂糖」に出てくるロッソという殺し屋の役かなあ。本編とはさほど関わりのない盲腸みたいなエピソードの登場人物なんだけど、そこにヒロインが殺しを教えてくれってやってくるんです。その殺し屋が本当に力の抜けた、一見するとただのおじさんのような感じでね。そういう役ってほとんど振っていただいたことがなかったので、難しさを感じた反面、とても楽しかったんですよ。演じていてホッとしたというか、今でもとても印象に残っています。