闘うヒロインに共感
――時代ごとに変化していくのはすごく⼤事ですね。闘う⼥性の作品が海外では増えているし、⽇本もそうなって欲しいです。
そうなんです。最近は⼥性がヒーローの作品も増えています。ただ守られるだけのプリンセス(ヒロイン)ではなく、⾃分⾃⾝も何かと闘っている。とても共感出来ますし、個⼈的にも“いいな”と思います。
私は海外ドラマをよく観るんですが、今は最近Netflixで配信がスタートした「クイーン・シャーロット〜ブリジャートン家外伝〜」を観ています。「ブリジャートン家」の前⽇譚として、イギリス国王ジョージ3世に嫁ぎ、社交界を変えた若きシャーロット王妃の壮⼤なラブストーリーを描いたドラマです。フィクションですがイギリス国王ジョージ3世は⽩⼈、シャーロット王妃は⿊⼈という設定で⼈種の違う2⼈が⼿を取り合って国⺠の考えを変えていくストーリーで、 そこで描かれるシャーロット王妃の意志の強さ、家族への気持ち、そして⾃分で時代を切り拓いていく姿がとても素敵なんです。
ミュージカル映画『ヘアスプレー』でも描かれていますが、肌の⾊の違う⼈種同⼠は最初分かれて踊っているんです。でも王と王妃が2⼈で⼀緒に踊り出すと皆が混じり合って⼀勢に踊り出すシーンは本当に美しいです。是⾮観て欲しいです。
――時代を反映している作品ですね。観てみます!そう考えると、⼥性の強さを感じられるという意味で、『Gメン』で描かれているレディース集団【多摩⿊天使(ブラック・エンジェル)】のメンバーも個性的でしたね。【レイナ】【チーコ】【ナオ姉】のファミレスでのトークシーンは最⾼でした。
あのシーンの前に2時間くらい3⼈とも待ち時間があったんです。だから3⼈でロケバスの中で籠って“どんな芝居をするか”をみっちりと計画を⽴てていました。あのシーンは皆で作り上げたシーンです。
もちろん台本はあります。台詞をどんなテンポで⾔えば⾯⽩いかを皆で考えて、演じた撮影でした。【チーコ】役の花梨ちゃんは「男が⼥と会う=ホテル」の台詞を⾔う時のハンドサインを考えて「これやったら⾯⽩くない?」って(笑)。あのハンドサインは花梨ちゃんのアイディアです。皆でアイディアを出し合ったりして、楽しかったです(笑)。
台詞にアドリブは⼊っていませんが、動作や間のとり⽅などを皆で考えて⼯夫してオリジナリティを出していくようにしました。
――岸さんとお2⼈、終盤のシーンの撮影はどうでしたか。
あのシーンは本当に⼤変でした。途中までは台詞なのですが、最後の約2分はアドリブなんです。カメラが固定されて、監督はちょっと離れたところから⾒ているんですけど、全然カットがかからなくて。“なにこれ〜 !? 終わらない”と思っていました(笑)。実際には2分くらいのシーンなのですが、体感的には10分くらいあって、2⼈で頑張って作ったシーンです。
――凄く初々しさを感じるシーンでした。
台詞の掛け合いをしながら2⼈で⾊々と考えながら演じていました。ようやくカットがかかったのが、岸さんが⼿で“あるマーク”を作って私がそのマークにのっかって完成させるみたいな感じの時でした。普通にお芝居をしている⼈の中で岸さんのようにあのマークを作る⼈ってなかなか居ないと思うんです。岸さんのあのマークを⾒た時、“この台詞の流れでそのマーク?”って本当にビックリして素で笑ってしまいました(笑)。岸さんだから出来たシーンで“岸さん、ありがとう。これが監督の正解だったんだ”って思いました。
なかなかカットがかからないので、どうすればいいのか分からなくなって、本当に地獄のようで(笑)、役者として鍛え上げられました。