Feb 06, 2020 interview

永瀬正敏が『ファンシー』で感じた監督の想いと共演者の"底力"、映画人・写真家として続く挑戦

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映画人、写真家としての挑戦と願望

──今後、挑戦してみたいことはありますか?

役者は受け身のお仕事なので、どれだけやりたい役があっても毎回お話がくるとは限らないですよね。だから毎回出会ったものが一番やりたかった作品なんだと思うようにしているんです。役者以外では、映画のスチールやポスターのカメラマン、またプロデュースなど、裏方のほうもやってみたいですね。僕は出演せずに、監督やキャストなどすべての座組を自分で考えて、たまに差し入れを持って撮影現場を訪れては「大変そうだね」なんて言ってすぐ帰るっていうのをやってみたいんです(笑)。そういうプロデューサーさんってたまにいるので(笑)。それは冗談ですが、素晴らしい監督や役者がたくさんいるのでいつか本当に実現できたらと思っています。

それから写真に関しては、毎回作品で共演した役者に10分でもいいので時間をいただいて、ポートレートを撮りたいという願望があります。それで映画の公開時に写真展をやったり、僕が撮った写真のサイトを作ったらおもしろいのではないかと。“僕が感じた共演者たち”という切り口でカッコいい写真を撮りたいです。

──役者さんをカメラで撮る時に何か意識していることはありますか?

自分がよく知っている役者の場合は「こういう素晴らしい面もあるよ」と、世間が抱くパブリックイメージとは違う部分を撮りたいと提示するようにしています。初対面の方の場合はカッコよく美しく撮ることを基本としながら、何かしらのイメージを伝えてから撮るようにしています。そうするとみなさん顔が変わってくるんですよ。なぜかというと、役者は演じることに慣れていますから、「普通に」と言われるのが一番辛いですし、「自然に」とか「普通にすること」を普段から深く考えていることも知っているので、具体的なイメージやヒントを伝えてから撮るようにしています。

──永瀬さんにしか撮れない写真だと思いますので、ぜひいつか実現してほしいです。

ありがとうございます。デビューのころから撮っていればものすごい枚数になっていたと思います(笑)。デニス・ホッパーは俳優仲間のオフショットなどを撮影した写真集を出していますけど、僕は撮影がすべて終わってから監督や共演者の方々をちゃんとポートレートで撮りたくて。ただ、みなさんお忙しいのでなかなか…(苦笑)。そのうち実現させたいですね。

取材・文/奥村百恵
撮影/大川晋児
スタイリスト/渡辺康裕
ヘアメイク/勇見勝彦(THYMON Inc.)

プロフィール
永瀬正敏(ながせ・まさとし)

1966年生まれ、宮崎県出身。相米慎二監督作『ションベン・ライダー』(83年)でデビュー。以降、ジム・ジャームッシュ監督作『ミステリー・トレイン』(89年)、山田洋次監督作『息子』(91年)など国内外の100本以上の作品に出演。『あん』(15年)、『パターソン』(16年)、『光』(17年)でカンヌ国際映画祭に3年連続で公式選出された初の日本人俳優となった。近年の主な出演作に『Vision』(18年)、『赤い雪 Red Snow』『ある船頭の話』『最初の晩餐』『カツベン!』(19年)など。写真家としても多数の個展を開き、20年以上のキャリアがある。2018年芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

公開情報
『ファンシー』

とある地方の寂れた温泉街。時が止まったように昭和の面影を色濃く残すこの町で彫師稼業を営む鷹巣明(永瀬正敏)は、昼間は郵便配達員として働き、町外れの白い家に住む若き詩人にファンレターを届けている。一日中サングラスをかけている謎めいた鷹巣と、ペンギン(窪田正孝)と呼ばれる浮世離れしたポエム作家はなぜかウマが合い、毎日たわいない雑談を交わしていた。そんなある日、ペンギンのもとに彼の熱狂的なファンである月夜の星(小西桜子)という女子が「妻になりたい」と押しかけてくる。折しも地元の町では、ヤクザの抗争など血生臭い出来事が続発。やがてニヒルで粗暴な鷹巣、ロマンティストで性的不能のペンギン、少女のように夢見がちな月夜の星が陥った奇妙な三角関係は、激しく危うげに捻れていくのだった――。
原作:山本直樹
監督:廣田正興
出演:永瀬正敏 窪田正孝 小西桜子 宇崎竜童 田口トモロヲ ほか
配給:日本出版販売
2020年2月7日(金)公開
R15作品
©2019「ファンシー」製作委員会
公式サイト:http://fancy-movie.com/

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