May 02, 2021 interview

『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』公開記念!映画パーソナリティ&ライターによるラブコメ愛を語る会【第1回】

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フランスで大ヒットした『あしたは最高のはじまり』のユーゴ・ジェラン監督と、『エール!』の製作陣が再タッグを組んだ最新作『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』。

フランスの権威ある映画サイト「ALLOCINE」の、2010年代のラブコメ映画ランキングで、名作『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』を抑え、堂々の1位を獲得した本作が、5月7日(金)にいよいよ全国順次公開となる。

それを記念し、otocotoでは人気の映画パーソナリティ&ライターの女性3人による座談会を実施!本作についてはもちろん、作中でも影響が見て取れるハリウッド名作ラブコメから、最新の映画事情まで、「ラブコメ&ラブストーリー映画愛」をたっぷり全3回にわたって掲載する。第1回となる今回は、出演陣が愛してやまないラブコメ&ラブストーリーについてトーク。GW中にお家で楽しめる作品が中心になるので要チェックだ。


◆出演者

奥浜レイラ(映画・音楽パーソナリティ)
1984年 神奈川県出身。情報番組のレポーターを経て、映画のプレミアなど舞台挨拶、トークイベントの司会やテレビ・ラジオの音楽番組でMCを務める。

赤山恭子(映画ライター/インタビュアー)
エンタメ誌編集、ハリウッドメジャー映画のディストリビューターを経てフリーに。映画監督、俳優など年間延べ300人以上にインタビュー、各媒体で掲載。レギュラーでは、VOGUE GIRLにて最新レコメンドムービーコーナーを担当中。

DIZ(映画ライター/編集者)
主にSNSで映画の素晴らしさを伝える活動をしている映画ライター・編集者。映画とファンをつなぐメディア「uni」(@uni_cinema)にて多数映画イベントを主催。常に幅広いジャンルの映画をチェックしている。


―まずはお好きなラブコメやラブストーリー映画を伺ってもよろしいでしょうか?

奥浜:シンプルに恋愛そのものを描いているというよりも、女性の自立を描くものであったり、恋愛をして他人、例えばそれが彼氏であったら、「彼氏に自分自身の価値をゆだねる」ことの危うさ、恋愛や失恋を経てそれに気付いて主体的に変わっていくような話が好きですね。

奥浜レイラ(映画・音楽パーソナリティ)

最近観た作品では、「ラブコメ」って括りで言ってしまっていいのか分からないですが、『40歳の解釈: ラダの場合』(2020/Netflix)は非常に良かったですね。NYで脚本家として働いている黒人女性が、成功した30代を経て40歳で仕事に悩みながら恋をするんです。でも全てが上手くいかなくてくすぶる中で、「別の方法で自分を表現してもいいんじゃないか」ということでラップに取り組んでいく、というストーリー。NYを舞台にした作品って、女性が主体的になっていることが多いので、好みな作品が多いんです。主演のラダ・ブランクという女性が、この作品の監督・脚本も務めているんですよ。

40歳前後のあるあるで下ネタもちょこちょこ入ってくるんですけど、例えば「好きになった男の子と一夜を共ににしたいのに、10時になると眠くなっちゃう」とか(笑)。仕事と恋愛が両立した作品が、結構好きかもしれないです。

赤山:ちょっと実体験を含むみたいなところがあるんですかね。

奥浜:劇中で、黒人女性が今のアメリカでどういう立ち位置にあるのかは分かりますね。白人男性に、「もっと黒人っぽい話書いたほうがいいよ」って言われたり…。ラブコメでありながら、社会的な課題をちょこちょこ笑いのエッセンスに転化して盛り込んでいるっていうのが結構好きですね。

だから『ロングショット 僕と彼女のありえない恋』(2019)も好きです。これまでの映画で定番の立ち位置だった男女を逆転させて描くことで、無意識の偏見を紐解いていく話ですね。皆さんはどうですか?

ラブ・サイト・セカンド座談会
赤山恭子(映画ライター/インタビュアー)

赤山:私は普段、あまりジャンル分けして作品を拝見しないので、気になったものを片っ端から観るみたいな感じです(笑)。

でもラブコメやラブストーリーで言えば、ジュリア・ロバーツ主演の『食べて、祈って、恋をして』(2010)がすごく好きです。私自身、食べることが好きなんですが、やっぱり「食べ物を美味しく食べている様子を描いているのは、いい映画」って、つい先日も知人と話していました。

色々なところに行って傷つきながらも、食べて、楽しんで、様々な土地から栄養も吸収して、人との出会いからも学んでいく。「吸収する」っていうのは、とても前向きになれることでもありますし。

(奥浜)レイラさんがおっしゃっていたように、主体性というか、「自分」を確立しながら相手と向き合ったり、自分では気づかなかった新しい何かを見出してくれたりするような、恋をからっと描いている作品が好きなのかもしれないです。だから往年のハリウッド映画や、80年代~90年代に流行ったような作品も好きですし、もちろん10代~20代向けのキラキラ映画みたいな作品も観ます。

特に洋画って、妙齢の女性でも恋に対して引け目なく、臆せず飛び込んでいっているムードがあると思うんです。その辺りがやっぱり、まだ日本にはあまりないところですし、海外は昔からその土壌がある気がして。そういうところにも惹かれます。

奥浜:年齢に合わせた自分のその時その時のフェーズにあった作品が、洋画だと選びやすいですよね。

赤山:そうですね。自分よりも年齢がかなり上の主人公の作品まで幅広くあるし、その描かれ方を観て、うらやましいなと思います。

DIZ(映画ライター/編集者)

DIZ:自分の好きな作品の共通点について考えていたのですが、私は『(500)日のサマー』(2009)や『アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング』(2018)、『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2008)とか、観た後に自分のことが観る前より好きになれるみたいなラブコメが好きですね。

奥浜:視点を変えてくれるというか。「アイ・フィール・プリティ!」もそうですよね。体形がコンプレックスになっていたけれど、見方を変えると「パーフェクトに見える女性にもコンプレックスがある」と気づいて…。どこにでも、誰にとっても地獄はあるっていう。それぞれの場所で自尊心を育てて、自信を持つことの大切さを教えてくれる。私も好きです。

DIZ:そうですね。新しい視点をくれて、観る前とは違う視点で世界を見れるというか。自分自身も含めて。

赤山:ちなみに好きな作品って何回か観る派ですか?

DIZ:そうかもしれないです。

赤山:どういうときに繰り返し観ますか?

DIZ:何かが上手くいかなくなってきた時とか、自信がない時に観ますね。

奥浜:好きな作品は疲れてる時でも接取しやすいなと思います。色んなテーマが中に内包されていても外側はキラキラしていたり、お砂糖にコーティングされているんじゃないですけど、自分の中に入ってきやすいので。

赤山:ドラマ『ゴシップ・ガール』のブレア・ウォルドーフ(演:レイトン・ミースター)が、『ティファニーで朝食を』(1961)とか、往年のクラシック映画が好きな設定で何回も観るんです。なぜかという話をするときに、「結末が分かっているものを観ることに安心する」っていう風に言ってて。だから、内容が分かっている好きな映画を観たい時って、どこか何か安心を求めてるのかなって。このシーンが絶対に良いのも知ってる、みたいな。

奥浜:「来る来る!来たー!」みたいな。

赤山:そういう、深堀というよりも、ただただ楽しんじゃうことのほうが多いかも。

奥浜:分かるなー。私はそれで言ったら、ちょっとラブコメではないかもしれないですけど、『あの頃ペニー・レインと』(2000)はもう何回観てるか分からないくらい。「知ってる!良い良い良い!」っていう。かわいい映画ですよね。

赤山:「ここのシーン!そうそう泣けるのよ!泣くー!」みたいな。

奥浜:赤山さんは何回も観てる映画、ありますか?

赤山:私は、ホイットニー・ヒューストンがヒロインと主題歌も務めた『ボディガード』(1992)。もうストーリーが「起承転結!」っていう感じで。あとはやっぱり音楽がいいし美しい。『ラ・ラ・ランド』(2016)とかもそうですけど。