――人生の中で刺激を受けた人は誰ですか。
彼らです。ずっと学生時代から一緒に居る彼らです。彼らが居なかったら多分俳優もやっていないですし、間違った道をドンドン進んでいたと思います。道をちゃんと正してくれたのが彼らだと思っています。彼らには感謝しかないです。
――彼らはずっと若葉さんを見続けているのですね。
そうですね、でも一番のアンチだと思います(笑)。面白くなかったら正々堂々と「全然面白くなかった」と言われるんです。何が面白くなかったのかも明確に言われます。「だって矛盾してるよ、こことか」ってある映画を見て言われて(笑)。普段、俳優って直接的にはネガティブなことを言われないと思うんですよ。SNSとかで言われることは多いと思いますが、面と向かって何の忖度もなしに言われるのはやっぱりショックです。でも、正しいというか‥‥、言われることが多いですね。だから彼らは一番のアンチでもあります。
―― 一番まっすぐに若葉さんを見ているのですね。
本当に当たり前のことなんですけどね。「あれ、誰に向けて喋っているの?」とか(笑)「あれは前振りとして説明しないといけないから誰に向けてでもない」と言うんだけど「あそこで冷めるんだよな。普通に客に向けて喋りだしたと思った」とか「寝起きなのに何であんな髪型してるの?」とか(笑)当たり前のことじゃないですか。でもそこって「しょうがないよね、娯楽だから」と僕らが目をつぶって来たところで、本当は見つめ直さないといけない部分かもしれないですよね。
――今、若葉さんが大事にしている言葉はありますか。今年一年でもいいです。
ないです(笑)。そんな大それた話は出来ないです。言葉なんて日々変わりますよ。“そんなクソみたいなこと考えていたんだ” と次の日、ふと思ったりもするくらいで(笑)。夜中にポエムを書いちゃうのと一緒ですよ。言葉には惑わされないようにしています。そんなのを掲げるのは祈りに近いと思っていて、何時でも裏切られると思っています。なので、ないですね(笑)。
――核心をついたコメントだっ(笑)
「映画で人を救えないと思う」と言いながら「映画館がひとりでも逃げ込める場所であれば」という若葉竜也さん。いつもストレートな物言いで、嘘がない発言にハッとさせられながら、事実を見つめながら妥協せずに生きる大切さに気付かされるのです。本作『ペナルティループ』は、逆に事実を見ようとせずに生きてきた男の滑稽さを描きながら、私達も主人公【岩森淳】になっていないか、と問う作品だったのです。それをSF仕立てで描く荒木伸二監督。確かに不気味で面白い方です。
岩森淳が朝6時に目覚めると、時計からいつもの声が聞こえてくる。岩森は身支度をして家を出て、最愛の恋人・砂原唯を殺めた溝口登を殺害し、疲労困憊で眠りにつく。翌朝目覚めると周囲の様子は昨日のままで、溝口もなぜか生きている。そしてまた今日も、岩森は復讐を繰り返していく。
脚本・監督:荒木伸二
出演:若葉竜也、伊勢谷友介、山下リオ、ジン・デヨン
配給:キノフィルムズ
© 2023『ペナルティループ』FILM PARTNERS
2024年3月22日(金) 新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国公開
公式サイト penalty-loop