Apr 10, 2021 interview

高杉真宙が語る、出演作の映画『バイプレイヤーズ』の撮影の思い出と役者業について

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――思わずホロリとしたシーンはありますか。

オープニングに凄く感動しました。“映画っていいな”と思わせてくれる現場だと凄く感じていたんです。“気合が入っているぞ”という思いがオープニングからヒシヒシと伝わって来ました。それは監督、俳優、スタッフさんも含めた現場の皆さん全員、それぞれ気合が入っていて、その気合が伝わってくる感じが凄くてオープニングから感動していました。

――「皆で映画を作っている」というのを強く感じました。それと同時に役者という仕事は「面白いけど大変だ」とつくづく思いました。高杉さんが思う「役者」とは何ですか。

難しいですね。今回、改めて現場に入って思ったことは“役者さんも人だ”ということ。どの職業もそうだと思うんですが“人それぞれに繋がりがあって、何かが作られていく”ということをこの『バイプレイヤーズ』では特に感じました。演じられているのは、人が考えて、その人から何か魅了出来るものに変化して出したもの、その出したものを使って別の人がものを作り上げていく。それがこの仕事なんだと思ったんです。

他の現場だと台本が作られ、そこから僕ら俳優たちが具現化していくので作られたものと思うんですけど、この『バイプレイヤーズ』は台本に書かれたものから本人という色が付く、本人役という色を付けられるから人それぞれに「自分」という存在を出せる、だからこそ余計に「人だな」と感じさせる現場でした。仕事としてではない、「人」として観て欲しいです。なので、そこまで「役者だから」というのはないです。人を魅了することは他の現場でもあることで、他の仕事でも変わらない。それが誰に向けてなのか、意識の違いなのかもしれません。

――自分役だからこそ、自分とも向き合うことになったのですね。今の時点で人に見られる仕事(役者)をしている高杉さんはご自身のことをどう思っていますか。長所と短所だと思うところを教えて下さい。

僕はめちゃくちゃ欠点だらけです(笑)我が強いですね。それは必要なことだとも思っていますけど、もう少し人への思いやりを磨いていきたいなと思っています。先輩たちを見ていて、どの先輩も良い方々なんです。それはたぶん色々な人たちに対する思いやりもあると思うんです。自分も先輩たちのように人として成長したいという思いがあります。

――誰かに言われた印象深い言葉はありますか。

僕は松重さんと光石さんと同郷で福岡出身なんです。だから方言の違いをずっと聞いていました(笑)同郷なんですけど、今は使われていない言葉とかを教えてもらっていました。

――最後にこの作品はどんな人に観てもらいたいですか。

色々な人に観てもらいたいです。特に撮影に関わっている方には絶対に観て欲しいです。どうにか制作の皆さんが伝えたいことを汲み取って映画にしたという思いがあるし、そういう意味でも観て欲しいです。逆に撮影現場を全然知らない人にも「こういう風に撮影をしているんだ。こういう思いがあるんだ」ということを伝えられれば、もっとドラマや映画を好きになって、色々な作品を好きになってもらえると思うので、そういう方々にも観て欲しいと思いながら撮影に臨んでいました。映画やドラマの魅力が伝わってくる映画です。「映画って面白いな」と改めて思わされる現場でした。 

高杉真宙さんが今回の映画で挑んだのは、映画制作に挑戦するスタッフも担う俳優・高杉真宙。濱田岳さんが映画を撮るというので手助けをする役どころでした。撮影中は、役所広司さんの演技を間近で見れ、濱田岳さんに可愛がってもらったと嬉しそうに語った高杉さん。本人役であって自分自身ではないという役以上の難しい役は、果たしてあるのか。映画作りの大変さとその先にある感動が詰まった映画『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』は、日本にも素晴らしい俳優たちが溢れていることを証明する豪華で熱量の高い映画です。

文 / 伊藤さとり
撮影 / 奥野和彦

作品情報
『映画 バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』

富士山の麓にあるのどかな撮影所バイプレウッド。民放各局の連ドラや映画など沢山の組が撮影していて100人を越える役者たちで大賑わい。田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一ら元祖バイプレイヤーズもネット連ドラを撮影中。主演は有村架純だ。楽しく撮影が始まろうとした時、有村が共演している犬の風(ふう)がいないことに気づく。風は行方不明になっていた。心配する有村に、田口、松重、光石は風に何があったのか語り始める。テレビ東京系列にて放送され、2017年最大の話題作と言っても過言ではなかった『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』。深夜のおじさまたちの“わちゃわちゃ・ゆるシブドラマ”にも関わらず一大旋風を巻き起こし、高い評価を獲得。続編を望む声にこたえ、グレードアップしたシーズン2と3が放送された。そして、ついに映画化。映画史上初の試みのとんでもないラストが待っている!100人だからこそ成し遂げられる未体験の温かな感動がスクリーンを包む!

監督:松居大悟

出演:田口トモロヲ 、松重豊 、光石研、遠藤憲一、濱田岳 、柄本時生 、菜々緒、高杉真宙、芳根京子 、有村架純、天海祐希 、役所広司

配給:東宝映像事業部

©2021「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会

公開中

イト:https://byplayers.jp/

伊藤 さとり

映画パーソナリティ
年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。ハリウッドスターから日本の演技派俳優まで、記者会見や舞台挨拶MCも担当。 全国のTSUTAYA店内で流れるwave−C3「シネマmag」DJであり、自身が企画の映画番組、俳優や監督を招いての対談番組を多数持つ。また映画界、スターに詳しいこと、映画を心理的に定評があり、NTV「ZIP!」映画紹介枠、CX「めざまし土曜日」映画紹介枠 に解説で呼ばれることも多々。TOKYO-FM、JFN、TBSラジオの映画コーナー、映画番組特番DJ。雑誌「ブルータス」「Pen」「anan」「AERA」にて映画寄稿日刊スポーツ映画大賞審査員、日本映画プロフェッショナル大賞審査員。心理カウンセリングも学んだことから「ぴあ」などで恋愛心理分析や映画心理テストも作成。著書「2分で距離を知事メル魔法の話術」(ワニブックス)。
2022年12月16日には最新刊「映画のセリフでこころをチャージ 愛の告白100選」(KADOKAWA)が発売 。 https://www.kadokawa.co.jp/product/302210001185/
伊藤さとり公式HP: https://itosatori.net