―― コロナになって映画業界についてどう思いましたか?
永瀬:ビフォーコロナ、アフターコロナで少し変化していくとは思います。実際に現場に行っても、今までではありえない体制でしか撮影出来ない。変わっていかざるを得ない状態なんですけれど、僕は映画を、エンターテイメントを信じています。僕自身一度も裏切られたことがないですし、救われて来たので、光は絶対に消えないと思っています。
この仕事をしている僕たちは、今まで以上にこの仕事を精一杯やり続けないといけないし、今はどの職業も大変で、それに追い打ちをかけるような豪雨で今、余計に大変なことになっています…。映画界、エンターテイメント界だけが大変じゃないので、世界的に皆で一緒に助け合いながら乗り越えていければと思っています。その先に何か見えて来るはずですから。
その時に映画で言えば作り方、公開の仕方が、ちょっとずつ変化はあるかもしれないです。でも光は消えてはいけない、消してはいけない。監督さん達が中心になって「ミニシアターを救え ! 」であったり、色々な活動をされています、それには心から賛同しています。
各劇場は綺麗事では済まない事態になっているのも事実で、でもその状況の中、ただでさえ清潔な劇場環境をさらに安全にして、お客様に映画を届けようと劇場を開けていただている…もう感謝しかないです。あとは僕たちが劇場にお客様が来てくれるような作品を作り続けることを、更に頑張らないといけないと思っています。色々なことを考えますね。
今回の自粛期間中に改めて『浮雲』(1955年)だったり、エドワード・ヤン監督の『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991年)を見返して、どんよりしていた気持ちを“いける!いける!”って緩めてもらった感じがしました。あとは相米のオヤジの作品を久々に見返したり、様々なジャンルの映画を観ました。
あと、力をもらった一つに、フランスの女性プロデューサーさん、アメリカのプロデューサーさんや、監督さん達が、自分たちの国がロックダウンした状況なのに、“日本は大丈夫なのか”って連絡をくれたんです。
その中で“コロナが終息したらまた一緒に仕事がしたい。お互い頑張ろう”って言ってくれたのが、心の中の光の幅をまた大きくしてくれました。また彼らと一緒に仕事がしたいって希望をもらい、“諦めちゃいけない”って思いました。
土居:私もコロナのことがあって芸術って、物作りって何なんだろうって、ずっと考えています。考え続けて答えってあるのか?って感じですし…。私は映画を観た後に、ちょっと心が軽くなったり、ちょっと元気が出たり、そのちょっとした小さいことがないと頑張れないと思うんです。
映画を映画館で観ると、暗闇の中で知らない人達と一緒に映画を共有して、とってもパーソナルな感じがするんです。自分の中の色んなことを投影しやすいというか、そういうところにある鏡のような存在が映画だと思っています。映画ってさりげない存在でいいんだって思いますし、そういう物だからこそ、素敵なんだと思います。
―― 今まで出演したいと思った、凄く惹かれた作品を二つ教えて下さい。
永瀬:コロナ期間中に観ていて“心を元気にしてもらった”と思った作品の中の一つにDCとかマーベル作品があります(笑)。ヒューって飛んだり、ビューって光線出したり、悪を退治したり、ああいうのは“いいな ! ”って(笑)。こういう時って、そういうエンターテイメントって大事なんですよね。
阪神大震災時の香取慎吾君の慎吾ママだったり、モーニング娘。さんだったり、そういうのが節々にあって、若者だけでなく、おじいちゃん、おばあちゃん、子供も一緒に、“オッハ~”って言えるエンターテイメントが必要なんじゃないかと。スポーツもそうで、初めてサッカー日本代表がワールドカップ出場を決めたとか、皆の気持ちがガッって上がった。そういうの大事だなって。実際にDCさんの作品とかオファーが来たら、もう無理ですけど…体力的に(笑)僕は観る方で(笑)