Oct 11, 2023 interview

桐谷健太×浜野謙太 インタビュー 『アナログ』悪友たちのエチュード

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悪友たちのグルーヴ感

ーーおふたりとも原作は読まれたんですか?

桐谷 読みました。

浜野 まじか!すいません僕、読んでません。

桐谷 いいんじゃない? それはそれでいいと思う。原作は高木も山下も下ネタを結構言ったりしてて、もっと悪友なんですよ。俺の役でも原作には、”チューしてた”みたいなくだりあったんだけど、そこも本編にはなかった。付き合いたてのカップルも受け入れやすいようスッと綺麗にしたんだろうなっていう感じもありました。

実際、原作から脚本になる時点で、そういう部分はマイルドになっていたので、悪友的な部分をちょっと抑えながら、3人の仲の良さを出した感じが、この映画ではいいのかなって思ってました。

ーー原作を読んでいると、高木と山下のセリフが結構下世話だったので、映画ではどうするんだろう?と思っていました。

桐谷 そうそう。だからエチュードでもね、下世話なのをちょこちょこ入れてたんですよ。

浜野 そうだったそうだった。

桐谷 まぁ、見事に削られてて‥‥(笑)。

一同 ははは(笑)。

桐谷 あと、愛人をひっかけて‥‥とか、ゲームセンターでお金拾って‥‥とか、そこを削った理由もいつか監督に聞いてみたいですね(笑)。

ーー3人が集まるシーンを見ていると、桐谷さんは原作を読まれたんだろうなって思っていました。

浜野 僕全然、読んでないことを後悔。

桐谷 いやいやそれぞれでいいと思うよ。原作ではそんな悪友たちが”悟のために!”みたいな感じがいいじゃない。

浜野 なるほど、そのギャップか‥‥。

桐谷 映画ではすごく爽やかな友情関係という感じですね。

浜野 でも3人のグルーヴ感みたいのがありますよね。さっきの焼き鳥屋の長回しシーンがあったからこそ、悟に辛いことを伝えに仕事場へ行くシーンで、離れた場所で佇んでいる高木と山下2人の姿がね、友達って感じに映りますよね。

ーー悟、高木、山下の関係性をどう捉えていましたか。

桐谷 もし高木が「友達って誰ですか?」って聞かれたら、パッと出るのが2人の名前だろうし、2人もそうなのだろうなっていう3人の関係性。だからカットかけずにずっと演じさせたのは、監督の狙いとして、そういう関係性とかを出したかったのかもしれない。

浜野 関係性もあるし、何より悟って、めっちゃいいやつですよね。

桐谷 そうだね、キャラクター的にもね。彼らは腐れ縁なんだろうね。

アナログへの想い

ーー桐谷さん、浜野さんは何かアナログ的なことはされていますか?

桐谷 パッと浮かぶのは手紙かなぁ。例えば、ファンレターとか、ちょっとしたことが書いてあったりして、嬉しいですよね。

浜野 僕は、音楽自体がアナログ。

桐谷 そのまま音がでるっていうね。

浜野 そうそう。ちゃんと合わせないと音ができないみたいな。あとは、絵日記を子どもたちに描かせていて、自分もそれに触発されて、とりとめもない日記を書くようにしてるんです。でも、思いついた言葉を携帯のメモに”日記補助”として保存してるんで、結局デジタルになってますね(笑)。

ーー最後にこれから『アナログ』を観る人たちに向けてメッセージをお願いします。

浜野 この話でメッセージを言うのって難しいですよね。僕ら悪友3人の目線からいうと、やっぱり最後にいい奴がちゃんと勝つ(笑)。

桐谷 ははは(笑)。そうね、いま世の中のスピードが速くなってますから、ちょっと会えない期間、すぐに連絡を取るんじゃなくて、人を想う行為をやってみてはいかがでしょうか? という感じですかね。心がスッとする映画になってますので、ぜひ堪能していただければと思います。

浜野 なるほど。

桐谷 最後に付け加えるとね。DVDのディレクターズカットでゴッドファーザーぐらいの長さにしてもらった悪友3人のシーンが入っていると嬉しいですね(笑)。

取材・文・構成 / 小倉靖史
撮影 / 藤本礼奈

 桐谷健太 担当 / ヘアメイク:FUJIU JIMI スタイリスト:岡井雄介
浜野謙太 担当 / ヘアメイク:阿部孝介(トラフィック)・KOSUKE ABE(traffic) スタイリスト:岡部俊輔 (UM)

作品情報
映画『アナログ』

手作り模型や手描きのイラストにこだわるデザイナーの悟。携帯を持たない謎めいた女性、みゆき。喫茶店「ピアノ」で偶然出会い、連絡先を交換せずに「毎週木曜日に、同じ場所で会う」約束をする。2人で積み重ねるかけがえのない時間。悟はみゆきの素性を何も知らぬまま、プロポーズする事を決意。しかし当日、彼女は現れなかった。その翌週も、翌月も‥‥。なぜみゆきは突然姿を消したのか。彼女が隠していた過去、そして秘められた想いとは。ふたりだけの“特別な木曜日”は、再び訪れるのか‥‥。

監督:タカハタ秀太 

原作:ビートたけし『アナログ』(集英社文庫)

出演:二宮和也、波瑠、桐谷健太、浜野謙太、藤原丈一郎(なにわ男子)、坂井真紀、筒井真理子、宮川大輔、佐津川愛美、 鈴木浩介、板谷由夏、高橋惠子、リリー・フランキー

配給:東宝、アスミック・エース

©︎2023「アナログ」製作委員会 ©︎T.N GON Co., Ltd.

公開中

公式サイト analog-movie