Apr 10, 2020 column

休日に有村架純はどう過ごすのか、妄想撮休ドラマ『有村架純の撮休』が面白い

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WOWOWプライム「有村架純の撮休」(土曜0時)が面白い。売れっ子女優・有村架純がある日ふいに手に入れた撮休をどう過ごすか。8パターンの妄想撮休を、ベテランから新鋭まで様々な脚本家と監督の顔合わせで描く。4月6日(月)現在、第3話まで放送されていて、見たら3作とも満足度が高かった。

第1話「ただいまの後に」(比嘉さくら脚本/是枝裕和監督)では、有村架純が撮休で実家に帰るところからはじまる。黒づくめの服を来て実家の駅に降り立つと母(風吹ジュン)が迎えに来る。関西弁で話す有村架純。ゆったり地元の街を母とふたりで歩き、買い物をする。実家のトイレットペーパーはシングルという質素さ。部屋には「ビリギャル」ほか有村架純の出演作のポスターが貼ってある。

母子ふたりの時間にふらりと訪れる若い男(満島真之介)。この男と母の意外な関係。有村架純の真骨頂は、一人娘として母にどこか甘えているときと、この男に出会ったときと、真実を知ったときの変化。そのニュアンスを是枝監督は淡々と撮っていく。

それにしても、有村架純は里帰りが似合う。朝ドラ「ひよっこ」(NHK)でも東京に出稼ぎに出たあと、たまに地元・茨城に帰るエピソードがなんともまったりしていて良かったのだ。有村架純はメリハリある芝居も巧いけれど(「SPEC」の雅ちゃんとか)、少し力を抜いた感じがすこぶるいい。すなわちこの「撮休」という企画は彼女にピッタリな気がする。とりわけオープニングのブルーバックの前でぼーっとしている表情がいままで見たことのない顔で心惹かれる(OPと予告は星野源の音楽ビデオや「忘却のサチコ」などの演出を手掛ける山岸聖太が担当。山崎は4、8話の監督も)。

「ひよっこ」といえば第2話「女ともだち」(ペヤンヌマキ脚本/今泉力哉監督)。架純の親友に伊藤沙莉が扮している。伊藤沙莉は「ひよっこ」でヒロインの幼馴染の妻役だった。ただ、有村も伊藤も「ひよっこ」のイメージとは違う役柄。そこがやっぱり俳優の面白さである。有村は、「ひよっこ」で演じた役ほど純朴な娘役ではなく、芸能界を生き抜いてきて冷めた視点をもっているふうに描かれている。世の男性が自分に求めることに諦念気味で、親友の同僚(若葉竜也)の架純に対する態度にも苛立ってしまうという、いま、何かと問われがちなセクハラ的視点をユーモラスに描いているが、そこが主眼ではなく、有村架純と伊藤沙莉の演じる親友の、変わらない友情が大事なんだろうなあと思う。適度に甘く、でも、どこかクールな部分もあって。これくらいの距離の友達がいいなあと感じた。ふたりの部屋の美術もいい感じなのである。脚本は、女子の本音を鋭く描くペヤンヌマキ、監督は「愛がなんだ」が大ヒット、女子の共感を最高に獲得する今泉力哉。

さてここで念のため書いておくと、「撮休」は有村架純のドキュメンタリーではないし、本当の撮休のオフショット映像でもない。あくまで、架空の物語である。だから、有村架純として出ている有村架純は、自分の素っぽさを演じている。兵庫出身であることは本当なので関西弁になるところとかはものすごくリアルで、本当にこんな感じなのかなと思わせるので、ふつうの演技を見ているときよりドキドキする。毎回、冒頭に出てくるマネージャー(野間口徹)とプロデューサー(黒田大輔)の業界あるある会話によって、ほんとうにこういうことが起こっているのかも……とも思わせる。

第3話「人間ドッグ」(砂田麻美脚本/是枝裕和監督)は有村架純が人間ドッグで腹部に器械を当てられている場面が白眉。

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