20世紀のポップカルチャーへオマージュを捧げまくったお祭り映画でもある『レディ・プレイヤー1』は、80年代を代表する監督として駆け抜けたスティーヴン・スピルバーグが製作だけではなく自ら監督を務め、アメリカと日本が生み出した映画、アニメ、ゲーム、特撮からアイコン的なキャラクターたちを引っ張り込んで調理した最高のフルコース料理に仕上がっている。ゲーム方面に着眼点を据え、歴史的超大作を徹底して紐解いていこう!
大量の人気キャラクターが登場する、スピルバーグにしか作れない映画
物語は単純明快。近未来のアメリカを舞台に、人々が“オアシス”なる仮想空間、つまりVR世界(ヴァーチャル・リアリティ)の住人となり、自分自身の分身(アバター)をセットアップ後、VRゴーグル+グローブ含め衣装一式を着用してログインし、ゲームなどに勤しむことが可能となった仮想空間で展開されるアクション・アドベンチャー映画…と説明するのが簡単で分かりやすいかと。
劇中の最大の魅力は、決して交わることのない他社のコンテンツ同士が垣根を越えて集結し、数多くのキャラクターたちがVR世界でアバターとして登場する部分だろう。これがスピルバーグ以外だったら、ここまで沢山のキャラクターの版権許可が取れず、劇中へ登場させることは無理だったと思う。「スピルバーグ作品だから」と許諾した会社が数多くあったそうで、最大の難関だった許諾部分に一番時間を割いたと監督本人も語っていた。
ちなみにこのVR世界が、日本では馴染み深い『ソードアート・オンライン』っぽくもあり、既にサービスが終了しているPlayStation 3のPlayStation Homeっぽさも感じながら、未だに細々と運営が行なわれている『Second Life(セカンドライフ)』的でもあるので、多くのネット民も拒絶反応は発生せず、没入感がより増すのではないだろうか。
劇中で流れる曲はスピルバーグ監督本人が選曲する力の入れ具合
冒頭から、80年代を代表する曲と言っても過言ではないヴァン・ヘイレンの「ジャンプ」が流れた段階で、35年前へバック・トゥさせてくれるノスタルジックさが際立つ。さらに劇中のダンスシーンでは、もはやお約束的なビー・ジーズの「ステイン・アライヴ」が流れるのだ。他にもプリンスやらダリル・ホール&ジョン・オーツなどの曲が使用されていたりと、客層ターゲットが明らかに50歳代前後としか思えない懐メロのシャワーが降り注ぐ。
これらの楽曲は、80年代に一世を風靡したポップカルチャーの申し子らしく、なんとスピルバーグ監督自身が選曲したとのこと!さらにさらに、劇中スコアを作曲させたのはスピルバーグがプロデュースした大ヒット映画であり、80年代を席巻したポップアイコン『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85年)のアラン・シルヴェストリに担当させ、隙のない布陣で作品を完成させている。