東日本大震災から「もう7年」なのか、あるいは「まだ7年」なのか。7年というのはそれがわかりづらくなってきている歳月だ。もちろんそれは被災地の被災者たちとそれ以外の人たちでも大きく異なる。では“それ以外”である自分は、ちゃんと憶えているだろうか?と自問してみると、意外なくらい2011年3月11日前後のテレビがどうなっていたかがハッキリせずにショックを受けた。もちろん報道が数日にわたり流れていたことは覚えているのだが、それがいつ頃まで流れていたのか?といったような詳細になるとこれがどうにもハッキリとしない。
思い立って図書館に行き、当時の新聞の縮刷版にあたってみた。目的は災害報道ではなくラテ欄(ラジオ・テレビの番組表)だ。
アニメファンという立ち位置で書くと、あの時のことでとにかく印象に残っているのはMBS/TBS系列で放送されていた『魔法少女まどか☆マギカ』の残りエピソードの放送が中止になったことだ…が、他の番組はどうだったのだろう? 正直、『まどマギ』以外の番組はそれほど「飛んだ」とか「中止になった」という記憶がなかったのだが、それもそのはずで、そもそも深夜アニメ自体がそれほど多くなかった。日曜朝や夕方のキッズ向けは除き、あくまで深夜に限っていえば前シーズンから引き続き放送されていたものも含めても約15本。いや、ここ最近の多さが「おかしい」と言えるレベルであるのはわかってはいるが、それでも記憶にある以上に差があった。
以下はあくまで僕が住んでいる東京圏での話で、大きな被災を受けた東北エリアはもちろん、他の地域でも異なるであろうことはあらかじめ御理解いただきたい。
3月11日(金) 前記のようにTBS『魔法少女まどか☆マギカ』、テレビ東京『GOSICK -ゴシック-』、終夜の報道への差し替えとなったためにこの2本は放送休止に。 『GOSICK -ゴシック-』は翌週へ延期となり、その後の放送も予定より1話ずつ遅れることになった。TOKYO MXは今では週末の深夜ともなればアニメ番組が数時間続いているが、この時は金曜深夜にも関わらず放送していたアニメが『とある魔術の禁書目録II』1本のみ。
3月12日(土) 朝日新聞朝刊のラテ欄ではNHKは全て特番に。しかし民放は通常番組編成で掲載されている。ただし実際の放送は終日報道特番であったので、これは差し替えの作業が間に合わなかったのだと思われ、さらに土曜日版に掲載されている週間番組表も全て通常編成番組で掲載されている。こういう部分からは「たかがラテ欄」にも影響がでるほど、新聞社でも大きな混乱が生じていたことが伺える。それほどの事態であったという事だ。差し替えが出来なかった混乱は他の記事にも伺える。朝日新聞だと12日朝刊はまだ通常記事も多くそのまま掲載されており、「パソコン春のモデル紹介」などが載っている。
この状況はこの日の夕刊から大きく変わり、民放各局の番組表も全て報道特番に。ただしテレビ東京、MX、TVK、チバテレビ、テレ玉のラテ欄は通常編成の記載のまま。実際にその通りの放送であったかは不明なのだが、しかしテレビ東京に関しては各局で報道特番が続く中で12日にはすでに通常編成に復帰しており、深夜アニメ『テガミバチ REVERSE』が放送されている。