誰もが、30、40,50,60とキリのよい年齢になったとき、少なくとも一度くらいは人生や何かを振り返ることだろう。
僕はもうすぐ50歳の大台に突入するが、考えただけで目眩がする。とてつもなく大人であり、遙か遠い先だと思っていた50についになってしまうのだ。どう考えても今の自分は、思い描いてたほど大人でもないし、遠い先だと思っていた時代の方が遠い過去になってしまっている。なんだか「トホホ…」という気分だ。
何が「トホホ」なのだろう?その自問に答を返してくれたような4月期のアニメがあった。それらの作品について紹介しておきたい。
『リトルウィッチアカデミア』は一人前の魔女を目指し魔法学校に通う主人公・アッコが繰り広げるドタバタ劇。 GAINAXで『天元突破グレンラガン』などを手がけた演出家の大塚雅彦らが設立したアニメ制作会社TRIGGER制作のオリジナル作品で、TVシリーズ化までの経緯も特色があった。1作目は2013年の文化庁若手アニメーター育成プロジェクト『アニメミライ』の1作として制作された30分弱の短編作品だったが、発表されるやハイテンポな展開に痛快な動きの楽しさが大きな話題となった。 その後、クラウドファンディングによって資金を集めて制作された続編『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』が2015年に劇場公開。こちらは1時間の中編だった。 そして今年1月からはついにTVシリーズ化。『アニメミライ』版と『魔法仕掛けのパレード』は繋がっている作品であったが、TVシリーズ版は同じキャラクター・設定を継承しつつ、1からの新たな物語となっている。
先日2クールの放送を終えたこの作品、最終回はまさに大団円という言葉がふさわしい堂々たるものだった。深夜に見ていて心をガッツリ持っていかれてしまった。仕事をしなくてはと思いながら、思わず録画を2回、3回と繰り返し。それくらい超王道をゆく熱い展開を、目がくらむようなダイナミックな動きで魅せる。まさにアニメの魅力そのものが凝縮された30分。これを見るために2クール見続けてきて本当に良かったと思えた。TRIGGERといえばアクションのダイナミズムを徹底的に描いた『キルラキル』も記憶に新しいが、その真骨頂といえる最終回だった。
『アニメミライ』版からの全作を監督している吉成曜のインタビューなどを読むと、発端が若手アニメーター育成プロジェクトということもあり、アッコのキャラクター造形は新人アニメーターを意識したものから始まったそうだ。