Oct 02, 2026 column

愛と自由を歌い継ぐこと そして語り継ぐこと ドキュメンタリー映画『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』

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清志郎が教えてくれたこと

忌野清志郎の歌は、令和の現在も歌い継がれている。2025年8月31日に行われた「忌野清志郎55th & SWEET LOVE SHOWER 30th presents SWEET LOVER SOULS」。Rei 、ジェットセイヤ(go!go!vanillas)、梅津和時を中心に、Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)、茂木欣一(東京スカパラダイスオーケストラ)、アイナ・ジ・エンドらをヴォーカルとして迎えたステージは本作の象徴的なシーンだ。

リハーサル時、アイナ・ジ・エンドが歌う「スローバラード」のアレンジについて、バンマスのReiとアイナが話し合っている中、忌野清志郎の戦友である梅津和時が「最後の歌詞『ぼくら夢を見たのさ とってもよく似た夢を』は、”よく似た夢”ってことで、同じ夢じゃないんですよ。想像力を働かせたままで終わっちゃうんで、その先はないほうがいい。どうしても我々としては、その先(の言葉)は聴きたくない」と助言する。とても生々しい場面だが、後のライブ映像を観ると、言葉ではない叫びと音楽が、とてもエモーショナルで、会場の老若男女すべての世代の感情を動かしたことがわかる。ここに本ドキュメンタリーの指針が見える。忌野清志郎に意味を足すことを良しとしない、のだ。だから、本作もあれこれとメッセージを乗せたりしていないのだろう。

反戦だの、息苦しい世の中だの、清志郎の言葉を借りて、社会的なメッセージを乗せることはできる。だが、その歌詞と言葉は、そのまま残しておきたくなるのだ。映像作品だけでなく、清志郎自身の著書やインタビューをまとめた書籍がたくさんある。清志郎自身を深く知りたければ、それを読んでそのまま受け止めればいい。

「使命感みたいなのがあるんですよ。『歌っていかないとな』って思いました」と語った忌野清志郎。だから、我々も語り部として清志郎を語っていかないといけない。

昭和が終わった翌年の1990年12月25日、日本武道館で行われたラストライブを最後にRCサクセションは無期限休止する。本作のメインターゲットは、おそらくRCファンだろう。だが、その目的は、親や誰かの影響で知った当時を知らない世代に、忌野清志郎をそのまま届けることにある。

本ドキュメンタリー冒頭は、2008年3月2日、忌野清志郎が生前最後に行った実質上のワンマンライブ「忌野清志郎 完全復活祭 追加公演」の最終日。清志郎が問いかける。

「みんなに聞きたいことがあるんだ。世界は大いに冷たくなってるけど、世間はますます殺伐としてるけど。みんなに聞きたいことがあるんだ。愛し合ってるかい? 愛し合ってるかい? 愛し合ってるかい? Yeah!って言え」

そして思い出してほしい、いつもライブ終わりに彼が言っていたことを。

「どうもありがとう、愛してます。また会おうぜ」

清志郎が教えてくれたこと、それはシンプルで、自分の言葉を口に出して相手に伝えることである。

文 / 小倉靖史

作品情報
映画『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』

忌野清志郎のデビュー55周年を記念し、愛と反骨を胸に日本の音楽シーンに変革をもたらしたその軌跡を辿り、彼の比類なき表現の真髄に迫るドキュメンタリー。魂を揺さぶるライブ映像、創作の源泉を照れながら語る貴重な言葉の数々‥‥それらを縦横無尽に織り上げることで、「ひとりの人間・忌野清志郎」の実像を浮かび上がらせる。

監督:相原裕美

出演:忌野清志郎

配給:東映ビデオ

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