Mar 27, 2017 column

映画『キングコング』の歴史<1933-2017>アメリカが世界に誇るモンスターの歩み

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現在公開中の『キングコング:髑髏島の巨神』は、1933年の『キング・コング』から歴史が始まったキングコング映画の最新作である。
キングコングはアメリカが世界に誇るモンスターであり、後の怪獣もの、特撮作品に大きな影響を与えている。1933年の第1作からの歴史をたどれば、そのまま特撮の技術の進歩を見ることができる。駆け足になるが、キングコングの歴史を振り返ってみよう。

 

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第1作の『キング・コング』に登場するコングをはじめとしたモンスターたちは、すべてストップモーションアニメで表現されている。ストップモーションアニメとは、人形などを少し動かしては撮影、少し動かしては撮影という作業を繰り返すことで、その物体が動いているように見せる技法で、“コマ撮り”とも呼ばれるものだ。

 

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ストップモーションアニメを担当したのは、恐竜が登場する1925年の『ロスト・ワールド』も手がけたウィリス・オブライエン。コングと恐竜との戦いなど、その動きは非常にスムーズだった。コングの感情表現も豊かで、コングの感情移入できて愛されるキャラクターとしての地位も確立された。

ストップモーションアニメの巨匠レイ・ハリーハウゼン、『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン、日本の円谷英二など、多くの偉大なクリエイターに影響を与えたのも納得のクオリティなので、未見のかたは、ぜひ観賞していただきたい。

 

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『キング・コング』のヒットを受けて、同じ年の1933年に続編の『コングの復讐』が公開される。映画会社が前作の監督メリアン・C・クーパーらに出した条件は、年内の公開(『キング・コング』は3月、『コングの復讐』は12月公開)で、スケジュールや予算はかなり厳しいものだった。観客の前作の記憶が鮮明なうちに公開しようという判断で、こうした制作状況になったそうだが、モンスターたちの丁寧な動きなど、特撮パートを評価する声は多い。本作では、コングの息子“リトル”と巨大なクマとの戦いなどが楽しめる。

 

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『キングコング』のスタッフによって、『猿人ジョー・ヤング』というゴリラが登場する作品も1949年に作られているが、キングコング映画の新作自体は1976年まで待つことになる(1962年に『キングコング対ゴジラ』、1967年に『キングコングの逆襲』が、東宝で作られているが)。

1976年、第1作のリメイクとしてジョン・ギラーミンが監督の『キングコング』が作られる。前2作ではストップモーションアニメが使われたが、ここで使われた特撮技術は着ぐるみと、なんと実物大の“ロボットコング”!
ただし、ロボットコングの評判はよくなかった。『E.T.』のカルロ・ランバルディが制作したが、一部では“棒立ち”や“でくの坊”などと、さんざんな言われかたをしていて、作品内でもわずかしか使われていない。ロボットコングは撮影よりも宣伝キャンペーンなどで活躍した。

作品内のコングとしては、マイケル・ジャクソンの『スリラー』のMVの特殊メイクなどで知られるリック・ベイカーが手がけた造形物が使われている。しかも、着ぐるみの中に入ったスーツアクターはベイカー自身である。
ベイカーのコングは、第1作のコングと同じく感情表現が豊かだったが、当時駆け出しだったベイカーの名前はクレジットされていない。だが、関係者の間では彼の貢献が評価され、ベイカーは2005年版『キング・コング』にはパイロット役でカメオ出演している。

1976年版『キングコング』の続編『キングコング2』は、10年後の1986年に公開された。前作と同様に、着ぐるみなどの造形物でコングは表現された。前作のロボットコングを作ったカルロ・ランバルディが造形を担当して、コングと戦車の戦いなどの見せ場もあるが、残念ながら『キングコング2』の評判は“ストーリーが納得できない”など、かんばしくない。

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