Jan 19, 2024 column

第42回:女優パワーが炸裂したクリティクス・チョイス・アワード 『哀れなるものたち』主演女優賞受賞のエマ・ストーンが、アカデミー賞前哨戦の順風に帆をあげた!

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ベスト・コメディ賞で選ばれた『バービー』の人気は批評家の間でも根強く、あのトニー・クシュナーが「最高傑作!」と呼んだ理由は、既存のIPを使った画期的な切り口が評価されただけでなく、#MeToo以降のアメリカ世相を浮き彫りにしながらも、家族、男女で楽しめる映画として興行的に大成功させた点にある。主演女優マーゴット・ロビーがプロデューサー、グレタ・ガーウィグ監督チームと組んで、ハリウッド・ストライキ中のハリウッド映画界を盛り上げた点は、クリティクス・チョイス最優秀コメディ、オリジナル脚本としての評価に反映されている。

“Margot Robbie” Photo by Kevin Winter/Getty Images for Critics Choice Association

SeeHer賞という特別賞が与えられたのも『バービー』で、マテル社女性社員を助演したホンジュラス系アメリカ人女優のアメリカ・フェレーラが受賞。日本では「アグリー・ベティ」などの人気お茶の間TVシリーズで知られているが、彼女の名を一躍有名にしたのは、ロサンゼルスのダウンタウン、 ガーメント地区の洋裁工場で働く女性たちの葛藤を描いたインディペンデント映画 『Real Women Have Curves (原題)』。

“America Ferrera” Photo by Kevin Winter/Getty Images for Critics Choice Association

SeeHer賞とは、seeher.comという、ジェンダーの不平等をなくすために、マーケティング・メディアやテレビ、映画業界などに登場する女性や少女の描かれ方を改善するミッションを掲げる女性支援団体に由来する賞。クリティクス・チョイスではSeeHer賞を毎年1人選び、既存のステレオタイプにとらわれず、さまざまな女性像をスクリーンで演じた女優に授与している。日本はワールド・エコノミック・フォーラムのグローバル・ジェンダー・ギャップ・リポートで146カ国中125位と先進国としての位置はとても低い。いつか、このSeeHer賞を日本出身の女優が受賞する日が来てほしいと思う。