Nov 24, 2023 column

第40回:全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)ストライキ終了 AI時代の新契約とは?

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99%の組合員が可決した全米脚本家協会(WGA)のAI契約との比較

今年9月、私がアマゾンスタジオの前でインタビューしたWGAストライキ・キャプテンのメリッサ・ブレイクは日本でも馴染みのあるTVドラマ「HEROES/ヒーローズ」の脚本家、ストーリー・エディターなど、組合歴25年間のキャリアを持つ女性。ストライキ・キャプテンとは、全米中で行われたストライキをスムーズに行うために、スタジオ各社の前などに配置された組合員の代表。メリッサは脚本家組合のストライキ146日間、そして、ストライキ終了後も、シスターズ組合となる俳優組合のストライキに毎日参加。志をおなじくする精神で契約合意までピケを続けた女性である。

彼女以外にも、多くの女性ストライキ・キャプテンたちが5月2日から長期間で続いたストライキを成功させたという記事がヴァラエティ誌でも話題になっている。全米中、スタジオ前などの各ピケラインで約365人のストライキ・キャプテンが配置され、その多くが女性。ストライキ中は仕事ができず、給料が支払われずに生活苦を強いられた組合員も多かった現状。彼らをサポートするために、ストライキ・キャプテンとなった脚本家やショー・ランナーが主流となって、食料の寄付などを募り、組合員たちの連帯を失わないように団結。99%の組合員が契約に可決したという成果は多大に評価され、組合の一致団結した精神は、業界以外の労働者組合にもインスピレーションを与えたという。

メリッサは、AIに関しての質問に関し、スタジオ側がAIに脚本を書かせるなんて全く考えられないと断固としてAIを使わないことを主張。「組合リーダーは私たちの権利を守ってくれる」と、今後のハリウッドにおけるAIの制約がいかに重要かを教えてくれた。

今年9月25日から2026年5月1日までに契約された合意内容には、ほぼ全ての契約希望が含まれ、ストライキ終了後に脚本家が集まった会場では、組合員の勝利の喜びで、ロック・コンサートのような熱気だったそうだ。以下は、脚本家契約の一部、AI部分の文面。

「AIが作り上げた文章は、組合のMBA(Minimum Basic Agreement / 基本同意書)では脚本ではないし、元となる文章(割り当てられた資料)とも認めない。AIはMBAでは、ライターではない。生身の人間であるライターがAIを使うことは認める。ただし、雇用側がAIを使うことを強要はできない。雇用側は、AIを使うソフトウェア(チャットGPT)などを使って脚本を書くことを強要できない。組合は、組合メンバーの書いたものを使って、AIのトレーニングをすることは認めない」とある。そして、AIの次の争点とされていた配信サービスの報酬分配契約ストライキ時点で却下された内容がほとんど反映されている。