Oct 04, 2023 column

第37回:永遠のDUDE ! 『ジョン・ウィック:コンセクエンス』でシリーズを完結させたキアヌ・リーブスの魅力+今秋発信 ! TVシリーズ「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」とは ?

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スピンオフTVシリーズ「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」は70年代のニューヨークを舞台に炸裂

ジョン・ウィックが誓印を交わしたコンチネンタルホテル。映画を見て、さらに、その殺し屋専用のホテルの聖域についてもっと知りたい人は必見。全3話のTVミニシリーズは、1話2時間というオリジナル『ジョン・ウィック』テイストが散りばめられたテレビ映画。闇社会のホテルの歴史は、オーナー兼支配人ウィンストンについて語らずには始まらない。映画の中で、常にキアヌを助けてきたウィンストン(映画では男優イアン・マクシェーンが好演)がコンチネンタル・ホテルのオーナー兼支配人にのし上がるまでの70年代ニューヨークの闇社会が舞台となる。

そのドンの役を演じるのが懐かしのメル・ギブソン。主役ウィンストン・スコットに抜擢されたのは、TVシリーズ「フライト・アテンダント」で主人公のケイリー・クオコを惑わせる一人二役を演じた注目男優コリン・ウッデル。ウィンストンの右腕、執事シャロンは若きウィンストンを支える重要な役どころ。抜擢されたのは、ナイジェリア出身のアヨミデ・アデグン。彼は米国で今年11月公開予定の映画『ハンガーゲーム0』にも出演し、若手ハリウッドを支える注目株である。映画版で、執事シャロンで大人気だった俳優ランス・レディックだが、今春、米映画公開の1週間前に60歳で他界。キアヌと監督のチャド・スタエスキが合同で、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を彼に捧げると追悼の言葉を捧げていた。

映画で何度もでてくるコンチネンタルホテルの外観は、NYウォール街にあるフラットアイアン(アイロンの形をした)建物でも知られるビーバー・ビルディング。インテリアはCunard building 他、実際には使われていない、古い建物の内観を使って、撮影されている。映画の中で多く登場するNYブルックリン、ウィリアムズバーグ橋が背景に映り込むシェイファー・パーク(Schaefer Park)もふんだんに登場し、物語を支える重要なバックドロップはオリジナル映画と変わらない。

70年代、実際に暗黒社会化していたニューヨーク市は、著名な映画監督たちの映画の舞台となってきた。ウィリアム・フリードキン監督の『フレンチ・コネクション』(1971) 、アラン・J・パクラ監督作品で、ジェーン・フォンダがアカデミー賞主演女優賞を受賞した『コールガール』(1971) 。シドニー・ルメット監督の『セルピコ』(1973) や『狼たちの午後』(1975) など、アル・パチーノとのコンビが抜群だった映画作品や、マーティン・スコセッシ監督の『ミーン・ストリート』(1973) や『タクシードライバー』(1976) 他、70年代のギャング映画の舞台は常にニューヨークだった。現在、あまりにも観光化され、小綺麗になったニューヨークだが、70年代の渋いニューヨークの街の面影は、この『ジョン・ウィック』フランチャイズ製作チームもお気に入りのようだ。来年は『バレリーナ』という映画版のスピンオフも公開予定。『ジョン・ウィック』ファンになるのは、今からでも遅くない。

文 / 宮国訪香子

作品情報
スピンオフTVシリーズ「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から

大ヒットアクション映画シリーズ「ジョン・ウィック」 の前日譚であり、若きウィンストン・スコットの目を通してニューヨークで最も悪名高い暗殺者専用ホテルの黎明期をエキサイティングに描く。1970年代のニューヨークの地獄絵図に引きずり込まれたウィンストンが、置き去りにしたはずの自分の過去と向き合うことになり、そしてこの裏社会のホテルの謎に挑み、命がけでコンチネンタルホテルの王座を手に入れようとする。

制作総指揮:ベイジル・イヴァニック、エリカ・リー、チャド・スタエルスキ

監督:アルバート・ヒューズ、シャーロット・ブランドストロム

出演:メル・ギブソン、コリン・ウッデル、アヨミデ・アデグン、ミシェル・プラダ、ベン・ロブソン、ジェシカ・アレイン、ジェレミー・ボブ

© Amazon Studios
© 2022 Starz Entertainment, LLC

Prime Videoで独占配信中

配信サイト Amazon.co.jp

映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』

裏社会の掟を破り、粛清の包囲網から生還した伝説の殺し屋、ジョン・ウィック。地下に身を潜めながら、全てを牛耳る組織:主席連合から自由になるために立ち上がった。組織内での勢力拡大を狙う若き高官、グラモン侯爵は、これまで聖域としてジョンを守ってきたニューヨークのコンチネンタルホテルを爆破、ジョンの旧友でもあった盲目の達人ケインを強引に引き入れ、ジョン・ウィック狩りに乗り出す。そんな中、日本の友人、シマヅの協力を求めてジョンが大阪のコンチネンタルホテルに現れた‥‥。

監督:チャド・スタエルスキ

出演:キアヌ・リーブス、ドニー・イェン、ビル・スカルスガルド、ローレンス・フィッシュバーン、真田広之、リナ・サワヤマ ほか

配給:ポニーキャニオン

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公開中

公式サイト johnwick

宮国訪香子

L.A.在住映画ライター・プロデューサー
TVドキュメンタリー番組制作助手を経て渡米。 ニューヨーク大学大学院シネマ・スタディーズ修士課程卒業後、ロサンゼルスで映画エンタメTV番組制作、米独立系映画製作のコーディネーター、プロデューサー、日米宣伝チームのアドバイザー、現在は北米最大規模のアカデミー賞前哨戦、クリティクス・チョイス・アワードの米放送映画批評家協会会員。趣味は俳句とワインと山登り。