先月末に亡くなった、作曲家の坂本龍一の訃報のニュースに、世界中のファンから追悼メッセージがソーシャルメディアを通じて、寄せられていた。ツイッターで彼の死を偲んだ映画関係者も多く、監督バリー・ジェンキンスは「真のレジェンドだった」とハートブレイクの絵文字で悲しみを記し、大島渚監督の遺作映画『御法度』(1999)の坂本龍一のサントラ音楽をツィート。音楽映画『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』 (2021) で去年、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞したクエスト・ラブは、『坂本龍一さん、あなたからのギフトに感謝します。フォース(『スター・ウォーズ』にかけて)がまた一人、この世から去っていったことが寂しいです。彼の名前を知らない人でも、ビー・ボーイ、ビー・ガール(ブレイクダンスやヒップホップの文化に傾倒している)アーティストのサイトを調べれば一目瞭然、彼は神のような存在だったのです。」とイエロー・マジック・オーケストラのハッシュタグとともに、”レスト・イン・メロディー:永遠のメロディー”として安らかに眠ってほしいとInstagramで投稿した。
坂本龍一の映画音楽は『ラストエンペラー』 (1987) や『レヴェナント 蘇えりし者』 (2015) などが有名だが、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バベル』 (2007) のサウンドトラックにも2曲が収録されていたり、近年公開されたインディペンデント映画『約束の宇宙(そら)』 (2021) や『MINAMATA ―ミナマター』 (2020) など、約50作品の映画音楽に携わっている。先週末は、ロサンゼルスでも、追悼コンサートが行われてチケットは完売。坂本龍一の音楽が次世代の音楽ファンの中でも息づいている。
現在ハリウッドで大活躍している映画『グリーンブック』 (2018) の作曲家クリス・バワーズ含め、坂本龍一に影響を受けた作曲家は大勢いる。その中でもアイスランド出身のヒドゥル・グドナドッティルは最近、坂本龍一のトリビュート・アルバムにも参加するなどの親しい仲。去年行われたロサンゼルス・フィルハーモニー交響楽団のコンサートでも、舞台挨拶の際、「私が最も影響を受けたアーティスト、坂本龍一さんは現在、療養中で、早く良くなってくれることを祈っています」と大先輩に心のこもったメッセージを添えていた。