劇場が期待するネオンのインディー作品群
2017年に始動したネオンスタジオ。去年、女性監督ジュリア・デュクルノーの『TITANE/チタン』がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した際、米デッドライン紙は斬新な映画製作と配給で「ネオンはパンデミック・フリーだ(パンデミックに影響されなかった)」とスタジオの成功を評価していた。ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』の配給で、外国語にもかかわらず、アカデミー作品賞初受賞という大成功を果たしただけでなく、新型コロナウィルスで業界がシャットダウンした際、10作品のインディー映画製作スタートを承認したなど、世の中とは逆のビジョンで突進した会社である。
代表取締役のトム・クインは「ネオンの主流ターゲットは45歳以下で暴力、外国語、ノンフィクションを嫌うことのないインターナショナルな観客層」と断言。『TITANE/チタン』は観なければよかったという人もいるほど、その賛否が分かれる作品もあるが、去年、賞レース前に記者陣に配られたDVDのセットを見ても、どの作品にも誇りを持っていることが窺える。
ネオンのパネルには、巨匠デヴィッド・クローネンバーグ監督を招き、待望の新作『Crimes of the Future』を紹介。監督ははじめてラスベガスを訪れたそうで、「この場所はこの映画の打ち上げに最もふさわしい場所かもしれない」と場を沸かせ、20年前に描いた脚本が今の時代にぴったりだと、プロデューサーに押されて映画の製作が始動したと続けた。
物語は、前衛的パフォーマンス・アーティストの主人公ソウルが、加速進化症候群という科学技術を用いて超人間となる舞台パフォーマンスに成功する。さらに過激な臓器移植パフォーマンスに挑む必然性にソウルが追い込まれたとき、とてつもない陰謀が彼を待ち受けているのだった。主演はヴィゴ・モーテンセン。助演の女優人のキャスティングも粋で、仏女優のレア・セドゥが主人公のパートナー役、クリステン・スチュワートが臓器バンクの捜査員で出演している。