May 02, 2022 column

第10回:ラスベガス発信_2022年、興行主の期待

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ネオン・ブランドのドキュメンタリー映画

本年度アカデミー賞で国際長編映画賞・長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション映画の3部門ノミネートで話題となった映画『FLEE フリー』がようやく日本で6月に公開される。主人公アミンとその家族の身の安全を守るために、ほぼ全編アニメーションで製作されたこのドキュメンタリー映画。父をタリバンに連行され、家族ばらばらに命がけで祖国アフガニスタンを脱出したアミンの秘密を描いている。

監督ヨナス・ポヘール・ラスムセンはデンマークの小さな町の出身でバスの後列で一人静かに座っていた幼いアミンに出会い、それから約15年以上の友情を経て、本人から打ち明けられた過去をドキュメンタリー映画にしたという。監督はこの映画を見て、心の内に秘めた悩みを話す側、その痛みに耳を貸す側の相互関係は人を救う以上の相乗効果を生むと語っていた。現在のウクライナ難民の現状を理解するためにも必見の映画である。

ネオンが今年一押しなのが、全米で秋頃に公開予定の『Moonage Daydream』、デヴィッド・ボウイのドキュメンタリー映画。監督は、『COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック』のブレッド・モーガンで、この作品はデヴィッド・ボウイの遺産管理団体が公式に許可した作品。70年代の未公開映像ほか、目玉映像満載だそうで、ライブイベント感覚で楽しめる作品の予感。映画のコンテンツ制作者、配給会社、そして興行主が連動することで、コロナ禍で配信中心だった映画業界を打破できるのか、消費者のチョイスが広がっていることは確実である。

第10回:ラスベガス発信_2022年、興行主の期待
『Moonage Daydream』

文 / 宮国訪香子

作品情報
第10回:ラスベガス発信_2022年、興行主の期待
映画『エルヴィス』

世界史上最も売れたソロアーティスト、エルヴィス・プレスリー。彼がいなければ、ビートルズも、クイーンも存在しなかった。 エルヴィスの誰も知らなかった真実の物語を、『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマン監督が映画化。

監督:バズ・ラーマン

出演:オースティン・バトラー、トム・ハンクス、オリヴィア・デヨング、コディ・スミット=マクフィー

配給:ワーナー・ブラザース映画

© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

2022年7月1日(金) 全国公開

公式サイト wwws.warnerbros.co.jp/elvis-movie/

第10回:ラスベガス発信_2022年、興行主の期待
ドキュメンタリー映画『FLEE フリー』

アフガニスタンで生まれたアミンは、幼い頃、父がタリバンに連行されたまま戻らず、残った家族とともに命がけで祖国を脱出した。やがて家族とも離れ離れになり、数年後たった一人でデンマークへと亡命した彼は、30代半ばとなり研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていた。だが、彼には恋人にも話していない、20年以上も抱え続けていた秘密があった。あまりに壮絶で心を揺さぶられずにはいられない過酷な半生を、親友である映画監督の前で、彼は静かに語り始める‥‥。

監督:ヨナス・ポヘール・ラスムセン

配給:トランスフォーマー

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2022年6月10日(金) 新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン 池袋ほかにて全国公開

公式サイト transformer.co.jp/m/flee/