Mar 22, 2018 column

“年下男子”から“大人の男性”へ 古川雄輝が歩む実力派俳優への道

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『曇天に笑う』(公開中) ©2018映画「曇天に笑う」製作委員会 ©唐々煙/マッグガーデン

 

どの作品にも、必ずインパクトを残す俳優がいる。静かにゆっくりと、“気になる”と感じさせるタイプから、一瞬で“誰だ?”と思わせるタイプまで、与えられた役柄によって印象の残し方は違えど、そういった俳優は、どんな作品でもどんな立ち位置でも、圧倒的に“目を引く”のだ。現在、20~30代の俳優が飽和状態と言われる中で、今年、頭一つ飛び出ることになるだろう俳優がいる。すでに中国では“男神”と呼ばれ、理想の男性として崇められるほどの人気を誇り、日本でも次々と出演作が控える古川雄輝だ。これまでの出演作品を辿りながら、彼の魅力を紐解いていきたい。

 

少女マンガもビックリの高スペック!若手飽和時代の苦労を経て、中国で「イタキス」が大ブレイク

 

7才よりカナダへ移住。16才で単身ニューヨークへ渡り、慶応義塾ニューヨーク学院を経て帰国。その後、日本の慶応義塾大学へと進み、2009年にミスター慶応コンテストでグランプリに選出される。ブレイクダンスが得意で、大学の有名ダンスサークルの代表も務めた。その後、2010年に行われた新人発掘オーディションで審査員特別賞に輝き芸能界デビュー。しかも180cmの長身という、少女マンガでさえ遠慮がちになり詰め込まないようなスペックを持つ彼は、まぎれもなくリアルな3次元。

しかし、彼がデビューした2010年はすでに若手俳優飽和時代。10代から活躍している特撮出身のアイドル的人気を誇る俳優たちがメディアに多く露出していた。しかも、デビューは23才という少々遅めのスタート。彼は当時のインタビューでも焦りを口にしていたが、初出演映画『高校デビュー』(11年)やドラマ「アスコーマーチ~明日香工業高校物語~」(11年)を始め、様々な作品で着実に経験を積み上げていった。

そして、「イタズラなKiss~Love in TOKYO」(13年)が日本、そして中国で放送され、大ヒットを記録。日本より先に中国で大ブレイクを果たし、上海で日本人俳優初となるファンミーティングを開催、空港に1000人以上のファンが押し掛けるという現象を起こしている。今作の、高スペックかつクールでツンデレという入江直樹を地で演じることができる彼に、多くの業界関係者も注目し、その頃から日本でも映画やドラマの出演が増えることとなった。

 

『イタズラなKiss~Love in TOKYO』(ブルーレイ・DVD-BOX発売中) 原作:多田かおる「イタズラなKiss」©多田かおる/ミナトプロ・エムズ ©「イタズラなKiss~Love in TOKYO」製作委員会

 

母性本能をくすぐる年下ダメ男子で魅力爆発!BL系作品、恋愛、サスペンスまで幅広く挑戦

 

中でも多くの女性の心を揺さぶったのは、映画『脳内ポイズンベリー』(15年)で演じたアーティスト志望の年下男子・早乙女亮一役だろう。アラサーの女性の母性本能を間違いなくくすぐる、マイペースで自由、何を考えているか全くわからない年下イケメンという、結婚を意識する女性が絶対に引っかかってはいけない男性を見事に熱演。この瞬間、多くのアラサー、アラフォー女性が「この子はダメ…好きになっちゃダメ…」と念じながらも、思いっきり吸い寄せられてしまう魔法にかかってしまったのだ。

その翌年に公開された『ライチ☆光クラブ』では、大人のいない世界を理想とする“光クラブ”を支配するゼラ役を演じ、原作ファンを納得させた。BL要素の強い作品としても話題となった今作だが、当時、間宮祥太朗の初キスシーンを古川雄輝が奪ったことも話題となった。このシーンを観ていない人は今すぐ、今すぐに観てもらいたい。今すぐに!

 

『ライチ☆光クラブ』(ブルーレイ・DVD発売中) ©2016「ライチ☆光クラブ」製作委員会

 

ドラマでも、20代後半となった彼は魅力的な男性を演じる機会が増えた。「5→9~私に恋したお坊さん~」(15年)では、実際は帰国子女でネイティブレベルの英語を話せるにも関わらず、英語レベルは片言、かつ気持ちを上手く伝えられないエリート商社マンを演じた。

そして昨年、連続テレビ小説「べっぴんさん」(16~17年)に出演して注目を集め、秋ドラマ「重要参考人探偵」では、玉森裕太、小山慶一郎と共演し、ジャニーズファンにも圧倒的な存在感を発揮。演じた役柄も、女好きでいながら天然だからこその愛らしさを持つモデルという当たり役。3人の共演シーンでは、「まるでトリオでコントをしているような感覚」と彼が話す通り、絶妙なコンビネーションを見せた。

また、昨年12月からは主演ドラマ「僕だけがいない街」がNetflixで配信されている。時が巻き戻る“リバイバル”という現象により、母親を殺害した犯人を突き止めるため18年前までさかのぼって事件の謎を追っていくサスペンスで、漫画家を目指す普通の青年だが、犯人を追ううちに事件に巻き込まれていく主人公・悟を好演。世界190カ国以上で配信されており、きっと各国の多くの女性が彼に魅了されたに違いない。

 

Netflixオリジナルドラマ「僕だけがいない街」(配信中) ©2017ドラマ「僕だけがいない街」製作委員会

 

そして2018年1月、彼にとって重要なタイミングで主演映画『風の色』(日韓合作)が公開された。今作では一人二役に挑戦しており、最愛の恋人の死から100日後、彼女と瓜二つの女性と恋に落ちるという複雑な役を演じている。愛する人の心を振り向かせたいがために、彼女のために生きる姿はとても真摯で、とても切ない。二転三転していく物語の中でみせる失意、落胆、そして歓喜の表情は、静かに優しく流れる物語に、色鮮やかに映えていた。

 

『風の色』(公開中) ©「風の色」製作委員会