Feb 10, 2024 column

映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』にみる原作の恐怖を回避する方法

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ゲーム未体験でも楽しめるホラー映画

無職のマイク(ジョシュ・ハッチャーソン)は、不登校中の幼い妹アビー(パイパー・ルビオ)と二人暮らし。友人に彼女を預け、就職活動をするも希望する職業には就けない。意地の悪い叔母ジェーン(メアリー・スチュアート・マスターソン)からは、妹を引き渡すようにプレッシャーをかけられているが、その目的は補助金に他ならない。ギリギリで生活している中、藁をもすがる思いで、キャリアカウンセラーに紹介された超低賃金バイト、テーマパーク型レストラン「フレディーズ・ピザ」の夜間警備をすることになる。

原作ゲーム同様、マイクは機械人形のマスコットたちと対峙することになるのだが、それに至るまでの描写、ストーリー展開が素晴らしい。が、本編途中まで疑問点やら矛盾点を沸々と感じるだろう。

地元警官のバネッサ(エリザベス・レイル)は、なぜ廃墟の警備を気にかけるのか? 友人で妹のベビーシッターをするマキシン(キャット・コナー・スターリング)は仕事してないの?とか、他諸々引っかかる部分がある。しかもこの2人、マイクと話すとき、奥歯に物が挟まったようなものすごく微妙な表情をする。鑑賞後は”なるほど!演技上手!”となるが、鑑賞中は不気味で気持ち悪い。

そしてマシュー・リラードが、フレディーズ・ピザの夜間警備をマイクに斡旋するキャリアカウンセラーとして登場する。ホラー好きならご存じ、彼は『スクリーム』の悪役を演じた俳優だ。このキャスティング、何かありそうな予感がプンプンするのが堪らない。

本作は最初から気を抜かず、画面の隅々、セリフのひとつひとつに注意したほうがいい。こういった伏線は、結末までにすっきりと回収されるからお楽しみに。

またFNaFの象徴といえば、マスコット・クマのフレディ、ウサギのボニー、ヒヨコのチカ&Mr.カップケーキ、キツネのフォクシーだ。7フィートもある所々骨格剥き出しの機械人形は、「セサミストリート」のマペットを生み出したジム・ヘンソンが設立したジム・ヘンソン・クリーチャーショップが制作を担当した。ゲームデザインに忠実ながら、懐かしさを覚えるデザインは、子どもの頃、遊園地の着ぐるみやアトラクションで感じた怖さを助長する。

筆者は予備知識ゼロで試写を観たため、ただのこけおどしの道具と思っていた、音の出るびっくりチキン人形もFNaFを深く理解しているとなぜ存在するのかがわかる。そういった原作小ネタが映画本編には盛り込まれている。今思えば、”あれはゲームでいうそういうことだったのか”と思われることが散見されるので、ゲームファンなら、より嬉しい発見が期待できるだろう。