Apr 13, 2019 column

世界が注目するティモシー・シャラメ、必見作からファン対応までその魅力を徹底解説!

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初期作から『レディ・バード』まで、ナチュラルに役と一体化した演技が魅力

ティモシーの俳優デビューは2009年にゲスト出演したTVドラマ「ロー&オーダー」で、他にも「救命医ハンク セレブ診療ファイル」「HOMELAND」などに出演。短編映画『サインスピナー/Spinners』(14年)に出演した後、高校の同級生だったアンセル・エルゴート出演の『ステイ・コネクテッド~つながりたい僕らの世界』(14年)で長編映画デビュー。同年公開のクリストファー・ノーラン監督作『インターステラー』ではマシュー・マコノヒーの息子役を演じた。


『シークレット・チルドレン 禁じられた力』(DVD 2019年6月7日 発売) ©2014 ONE & TWO LLC

翌年公開の『シークレット・チルドレン 禁じられた力』(日本では今年1月に“未体験ゾーンの映画たち2019”で限定公開された)では瞬間移動の超能力を持つ少年を演じており、まだあどけなさの残る初々しさで神秘的な魅力を放っていた。物語は全体的にダークではあるが、森の中で暮らしているという設定のため、大自然の中で無邪気に遊ぶティモシーも堪能できる作品である。また『クーパー家の晩餐会』(15年)ではキスがとんでもなく下手な冴えない少年をチャーミングに演じていたティモシー。『ビューティフル・ボーイ』ではウットリするようなキスシーンを披露しているが、ウブで不器用な初々しい姿はファン必見である。


『君の名前で僕を呼んで』(Blu-ray・DVD 発売中) ©Frenesy , La Cinefacture

この後、彼は北イタリアの避暑地を舞台に、17歳の少年エリオと24歳の青年オリヴァーの恋愛を描いた『君の名前で僕を呼んで』(17年)で大ブレイクを果たす。本作でティモシーは魅力的な少年エリオを演じているのだが、アーミー・ハマー演じるオリヴァーのことが好きでたまらない気持ちを瑞々しく表現して世界中の人々を魅了してしまったのだ。例えばオリヴァーを見つめる瞳からは片想いの切なさが感じられ、互いの気持ちがひとつになった後はオリヴァーの肩に甘えるようにもたれかかったり抱きついたり、純粋に人を好きになることの豊かさや幸福感をエリオを通して感じることが出来るのだ。映画を観てこんな気持ちになったのは久々だった。

ティモシーの役者としての素晴らしさは表情や仕草がナチュラルに役と一体化しているところで、彼の芝居は一瞬も見逃せないのである。ラストシーンで見せる涙の一粒まで神がかっており、誰もが納得のアカデミー賞史上最年少での主演男優賞ノミネートだったと言える。


『レディ・バード』(ブルーレイ+DVD 発売中) © 2017 InterActiveCorp Films, LLC. All Rights Reserved.

同じく2017年公開の『レディ・バード』ではヒロインが恋に落ちるイケメンのバンドマン、カイルを演じたティモシー。カイルは嘘つきで思いやりのないクズ男だが、不思議と魅力的に感じてしまうのは“ティモシー・シャラメが演じているから”という要素が大きいように思う。