MCUの集大成『エンドゲーム』で一番伝えたかったこと
以上のように、深いテーマ、エモーショナルなドラマ、スーパーアクション、ノリのいい音楽と会話、名優たちの演技、時代性、こうしたものがMCUの魅力なわけだが、『エンドゲーム』はMCUの集大成として、これらの要素が見事に詰まっている。
俳優たちの豪華さは言うに及ばず、また音楽の使い方も相変わらず上手い。基本的にはシリアスなストーリーながらヒーロー同士の会話の楽しさはちゃんとキープされている。そしてアクションは、特にクライマックスの大バトルは、そうそうこういうのが観たかった! の連続!(この時、あるヒーローがあるセリフを言うのだが、原作コミックでは本当に有名な決めゼリフで、ついにそれが登場! ということで、このセリフを聞くだけでも料金の元をとった気分)。
さらに登場人物一人ひとりにキチンとした見せ場が用意されていて、このバランスもさすが。しかし本作で印象的なのは“家族”という言葉が非常に多く出てくること。つまりそれは、アベンジャーズやヒーローたちが一番守りたかったもの、なのである。家族とは人と人との基本的な、とても大切な繋がり。家族があって初めて社会があり国がある。そう、アベンジャーズは正義のために戦うのではない。サノスによって引き裂かれた、この宇宙に存在する無数の“家族”のために立ち上がる。派手な見せ場が連続の、3時間にも及ぶ壮大な英雄サーガが一番伝えたかったのは“家族の大切さ”なのである。素晴らしすぎる『エンドゲーム』だが、唯一欠点があるとすれば、たった3時間で終わってしまうこと。彼らともっと一緒にいたいと誰もが願うはずだ。
文/杉山すぴ豊
最凶最悪の敵“サノス”によって、人類の半分が消し去られ、最強チーム“アベンジャーズ”も崩壊してしまった。果たして失われた35億の人々と仲間を取り戻す方法はあるのか? 大逆転へのわずかな希望を信じて再び集結したアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソーたちに残されたのは、最強の絆だけ──。“今はここにいない”仲間のために、最後にして最大の逆襲が始まる。
監督:アンソニー&ジョー・ルッソ
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:ロバート・ダウニーJr.、クリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、ポール・ラッド、ブリー・ラーソン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
公開中
© 2019 Marvel
公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html