Apr 27, 2019 column

MCUの魅力を総括!そして集大成『アベンジャーズ/エンドゲーム』が伝えたかったこととは――

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アクション、ユーモラスな会話、音楽とキャスティング…その全てが魅力

しかしMCUはテーマが深いからいい、だけではない。そこはやはりヒーロー・エンタテインメント! スーパーアクションにワクワクする。80~90年代は、例えばシュワルツェネガーやスタローン、『リーサル・ウェポン』や『ダイ・ハード』のようなアクション・エンタテインメントが大ブームだった。しかし現実社会で悲惨な事件やテロがあると、フィクションの世界でこうした映画を心から楽しめなくなってきた。いくら悪人とはいえ、人が人を殺すシーンに喝采を送るのはためらわれる。とはいえ、その一方でやっぱり悪者どもをバッタバッタとやっつけるアクション物は観たい。そういう願望にMCUはうまく応えている。

そして、アクションだけが魅力なのでは決してない。元々、マーベルはコミックの方でもスラングやNYの流行の言い回しなどを取り入れて、会話のイキがいい、という定評があったが、映画の方でもユーモアのある会話(本当にヒーロー同士のかけあいがドツキ漫才みたいなこともある)に笑う。さらに最近では音楽の使い方も素晴らしい。『アイアンマン2』(10年)でAC/DCの曲が使われ、ノリのいいヒーロー登場シーンでテンションがあがる。そして『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14・17年)では主人公が1980年代の10歳の時に宇宙に拉致されたという設定を使って、宇宙アクション映画なのに1980年代のポップスがBGM的に使われる。こうした傾向は『マイティ・ソー バトルロイヤル』(17年)、『キャプテン・マーベル』(19年)にも引き継がれている。恐らく、いまMCUを手掛ける監督が80~90年代文化の洗礼を受けた人たちだから、こうした音楽の使い方になるのかもしれない。

そしてMCUで忘れてはならないのは、キャスティングの素晴らしさ。MCUは“ヒーローである時よりも、戦っていない時の人間ドラマが大事”と公言されていただけに、実力派のスターたちにヒーローを演じさせてきた。ひとつ間違えればただのコスプレにしか見えないキャプテン・マーベルをアカデミー賞女優であるブリー・ラーソンが演じるからこそ、圧倒的な存在感とリアリティが出るのである。『ドクター・ストレンジ』(16年)は、もともともっと早く公開されるハズだったが、カンバーバッチしかこの役は演じられないと製作陣は考え、彼のスケジュールに合わせ公開日を変えたとまで言われている。“どのヒーローが登場するか”と同じぐらい、“誰に演じさせるか”にこだわっているMCUの姿勢がみてとれる。なおMCUはロバート・ダウニー Jr.、ベネディクト・カンバーバッチ、ジュード・ロウ、マーティン・フリーマンが参加しているが、彼らは皆、映画やドラマでシャーロック・ホームズとワトソンを演じていた経験があり、シャーロック・ホームズもまた演技力を必要とするヒーローだから、彼らがMCUに招かれるのは当然かもしれない。