Sep 21, 2019 column

ブラピの俳優キャリアと重なる?プランBが傑作を生み続ける理由に迫る

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プランBのポリシーと重なるブラピの俳優人生

よくよく考えれば、ブラッド・ピットの俳優としてのキャリアも、プランBのポリシーと重なるのではないか。誰もが認めるイケメン俳優として、『テルマ&ルイーズ』(91年)や『リバー・ランズ・スルー・イット』(92年)、『ジョー・ブラックをよろしく』(98年)のような作品でキラキラなオーラを放ちながら、初期の『カリフォルニア』(93年)のサイコキラー役から、『12モンキーズ』(95年)、『ファイト・クラブ』(99年)といったキワモノ的、過激なキャラクターも並行して演じてきた。周囲が認めるスター性を、いい意味で利用しながら、やりすぎとも感じる大胆なチャレンジをこなしてきた俳優としての生き方が、プランBでのプロデューサーとしての姿勢に似ている。大ヒットが難しそうな作品の場合、ブラピ自身がキャストに加わることで、より幅広い観客層の興味を引きつけるというのも、ある意味で、プロデューサーとしての計算高い能力。『ツリー・オブ・ライフ』(11年)や『ワールド・ウォーZ』(13年)などは、ブラピが主演でなければ、そこまで話題にならなかったかもしれない。

では今回の『アド・アストラ』も、自分が主演を務めることで商業的成功を狙ったのか? どうも、そうとは思えない。過去の主演・プロデュース兼任作品と比べて、この役には“自分で演じたかった”という気概が強く感じられる。それゆえにブラピのキャリアでも最高の演技という絶賛が集まることになったのだろう。

多くの才能を世に送り出したいというプロデューサーとしての想いと、演じる喜びを全身で表現する俳優としての本能。その両方が美しくシンクロした作品なのかも…。長い間、ハリウッドの第一線を走り続けたブラッド・ピットの総決算だと思いながら観れば、『アド・アストラ』でロイ・マクブライドが辿る運命は、より心に迫ってくるはずだ。

文/斉藤博昭

公開情報
『アド・アストラ』

近い未来。宇宙飛行士ロイ・マクブライドは、地球外知的生命体の探究に人生を捧げた科学者の父クリフォードを見て育ち、自身も宇宙飛行士の道を選ぶ。しかし、父は探索に出発してから16年後、太陽系の彼方で行方不明となってしまう。だが、父は生きていた──ある秘密を抱えながら。父の謎を追いかけて地球から43億キロ、使命に全身全霊をかけた息子が見たものとは――。
監督:ジェームズ・グレイ
製作:ブラッド・ピットほか
脚本:ジェームズ・グレイ&イーサン・グロス
出演: ブラッド・ピット、トミー・リー・ジョーンズ、ルース・ネッガ、リヴ・タイラー、ドナルド・サザーランド
配給:20世紀フォックス映画
公開中
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/adastra/

DVD情報
『それでも夜は明ける』

Blu-ray:2000円(税抜) DVD:1143円(税抜)
発売中
ギャガ
© 2013 Bass Films, LLC and Monarchy Enterprises S.a.r.l. All Rights Reserved.

『犬ヶ島』

Blu-ray:1905円(税抜) DVD:1905円(税抜)
発売中
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
©2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』

公開中
配給:トランスフォーマー
© 2018 A24 DISTRIBUTION, LLC