May 25, 2024 column

『帰ってきた あぶない刑事』公開記念 今の時代だからこそ映える"あぶ刑事"の魅力

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さらば、から8年 無茶しないと、滅びるぜ。

最新作では『さらば』で無事定年を迎えニュージーランドに移住していたタカとユージが横浜に帰ってくる。ふたりは探偵事務所、T&Y DETECTIVE AGENCY.を立ちあげる。そんな彼らのもとにハーレーに乗った美女・永峰彩夏(土屋太鳳)が、母親・夏子を探してほしいとやってくる。夏子はタカとユージがかつて愛した女性シンガーだった。タカとユージは、彩夏は自分の子供ではないかと?思いながら、3人で夏子を探す。

夏子捜索のなか、チャイニーズマフィアのリウ・フェイロン(岸谷五朗)、謎めいた美女ステラ・リー(吉瀬美智子)、そして、『もっとも あぶない刑事』でタカとユージが射殺した暴力団の銀星会会長、前尾源次郎(柄本明)の息子で、起業家の海堂巧が(早乙女太一)が横浜新カジノ構想を画策し、タカとユージがまたもや事件に巻き込まれていく。

土屋太鳳が、あぶ刑事を知らない世代へタカとユージの紹介役を務め、早乙女太一が、悪役らしくぶっとんだ狂気で物語のメリハリをつけている。このあぶ刑事チルドレンたちが、本作の魅力を高めている。

本作『帰ってきた あぶない刑事』は、今までのあぶ刑事劇場版で、おそらく一番分かりやすい。それでいて、TVドラマシリーズからつながるタカとユージの魅力、あぶ刑事の世界のいいところをぎゅっと詰め込み見事にパッケージングした成功例だと思う。本作スタッフのあぶ刑事を次の世代へという熱意が伝わってくる。

前作『さらば あぶない刑事』はタカとユージの定年退職直前の話だが、今回は、課長になった透が定年の年となる。透とはリアルに同い年(1965年生まれ58歳)の杉本哲太が同期の県警本部長役として出演し、タカとユージの行動を注視するように命じる。

キャロルの親衛隊を務めたクールスの元メンバー、舘ひろしの後輩に、横浜銀蠅の弟分、紅麗威甦(グリース)出身の杉本哲太、『ビー・バップ・ハイスクール』デビューの仲村トオル、彼らは横浜と不良つながり。このような配役とメタ表現もあぶ刑事の魅力のひとつだ。

そんな港署捜査課三代目課長・透の部下たちに、西野七瀬、鈴木康介、小越勇輝。彼らはかつての港署捜査課メンバー、ベンガルが演じた田中文男ことナカさん、山西道広が演じた吉井浩一ことパパのような立ち位置で、一見へっぽこ感のある役柄。ちなみに長谷部香苗演じる瞳ちゃんも現役だ。

そして、ロケ地としてお馴染みのバー「Star Dust」をはじめ、横浜ロイヤルパークホテル、山内埠頭、港の見える丘公園など、魅力ある横浜の街を再びタカとユージが駆け巡る。

個人的にぐっときたのが、「タカ!」「ユージ!」と、ただ名前を呼び合っているだけなのにかっこいい、あのコールアンドレスポンスを多用せず、ピンポイントで呼び合うところがいい。

もちろん、いくぜ!と挿入歌「RUNNING SHOT」が流れるとユージが走り出し、タカがバイクにまたがり、敵とショットガンで一騎討ちするショータイムもある。エンディングはジャンプして舘ひろしが歌う「翼を拡げて」が流れる。ファンが観たかったものをそのまま観せてくれるのが心憎い。

ここまでつらつらと書いてきたが、こんな予備知識がなくても、最新作は”もっとも”あぶ刑事を楽しめる。70代を迎えたタカとユージは、”まだまだ”ショットガンをぶっ放すし、横浜の街を全力疾走する。”さらば”といっても帰ってくる彼らは、爆発に巻き込まれても死なない”リターンズ”。次作があるかはわからないが、我々のあぶ刑事は”フォーエヴァ―”にかっこいい。



文 / 小倉靖史

映画『帰ってきた あぶない刑事』

探偵事務所の依頼人・第1号、タカ&ユージどちらかの娘⁉彩夏の依頼は、母親の捜索。タカ&ユージがその行方を探る傍ら、殺人事件が多発する。一体ヨコハマで何が起きているのか?その矢先、爆破テロが仕掛けられ、最大の危機が勃発!果たして彩夏の母親は見つかるのか?ふたりは、愛するヨコハマを守ることができるのか?

監督:原廣利

出演:舘ひろし、浅野温子、仲村トオル、柴田恭兵、土屋太鳳、西野七瀬、早乙女太一、深水元基、ベンガル、長谷部香苗、鈴木康介、小越勇輝、杉本哲太、岸谷五朗、吉瀬美智子

配給:東映

©2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

公開中

公式サイト abu-deka