おなじみのキャラクターにお約束のセリフ
タカとユージを取り巻く、港署の面々もとても魅力的だ。仲村トオル演じる捜査課所属の町田透は永遠の後輩キャラで常にふたりに振り回される。浅野温子演じる少年課所属の真山薫は、ピンチをよりピンチにする愛すべきクラッシャー。タカとユージの行動に頭を悩ませながらも信頼を置く近藤課長に中条静夫、薫の上司、松村課長に木の実ナナと、誰が欠けてもあぶ刑事は成立しないといっていいほど、各登場人物たちがキャラ立ちしている。
1988年7月2日『またまたあぶない刑事』の公開を経て、同年10月7日、TVシリーズ「もっとあぶない刑事」が放送開始。
『またまた』では、タカが走行中の貨物列車にダイブしたり、ユージがゴールドのレパードで片輪走行をしたりと、アクションシーンが目白押し。今作で初めて、ダンディー鷹山、セクシー大下と自称するようになる。
このように、あぶ刑事には耳に残るお約束のセリフがある。
近藤課長が「大馬鹿者!」と問題行動が多いタカとユージを叱責するのも定番だ。後に、港署二代目捜査課課長となる、小林稔侍演じる深町、少年課課長の松村もこのセリフを使うようになる。
TVシリーズ「もっと」では「太陽にほえろ」を放送していた金曜8時のゴールデンに移動。平均視聴率20%超えで人気を確固たるものにし、最終回では1989年4月22日公開の『もっともあぶない刑事』への布石が打たれる。
『もっとも』はヒットシリーズの総決算として製作された作品で、本作でTVシリーズ当初からの宿敵であった暴力団組織・銀星会との抗争に終止符が打たれる。この後シリーズは7年間の休止期間に入った。またこの休止期間中に近藤課長役の中条静夫が逝去。あぶ刑事シリーズ最後の出演作品となる。
1996年9月14日公開の『あぶない刑事リターンズ』では、近藤課長に変わり、小林稔侍演じる深町が捜査課課長に就任。国際テロ組織が原子力発電所のミサイル爆破を企てるが、タカとユージがその計画を阻止する。VFXやCGが活用された作品で、荒唐無稽なストーリーだがあぶ刑事らしいといえばあぶ刑事らしい作品だ。
1998年8月28日にテレビ放送された「あぶない刑事フォーエヴァーTVスペシャル’98」、同年9月12日公開の『あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE』では、テレビと映画のメディアミックスが行われた。IT時代を反映するストーリー展開で、「TVスペシャル’98」では、竹内結子が一日署長に任命されたアイドル役として登場し、物語の要となる。「THE MOVIE」では、テレビスペシャルで逮捕した犯罪者が逃亡。タンカー爆破を企て、横浜の街を盾に身代金を要求。犯罪組織の傭兵役に加藤雅也、ヒロインに本上まなみ、元傭兵役としてマイク真木が出演。
バディものではないスリーマンセル
ひとつの事件を追いかけながら、時に単独行動をしながらも、最後には示し合わせたわけでもないのに、一緒になり悪漢に立ち向かうタカとユージの唯一無二のバディ感があぶ刑事の魅力のひとつ。
しかし、忘れてはならないのが、真山薫と町田透の存在だ。
タカとユージは、「打てるものなら打ってみろ」と言われたら、拳銃を打ってしまうあぶない刑事。いつも派手に暴れまわるので、たびたび、拳銃と警察手帳を取り上げられてしまう。そんなときに、ふたりをサポートするのが薫と透だ。
コスプレでいつも登場する薫には、「一生ついてきます!」とおだてにおだて、透には「女、紹介する」の一言で銃器を調達させたりする。普段は三枚目キャラの薫と透だが、タカとユージだけでは、どうにもできない肝心な場面には、必ず薫と透のどちらかが助けに入る。
彼らの重要性を考えると、あぶない刑事はバディではなく、実は三人組ではないだろうか。そのくらい、あぶない刑事はにとって彼らは重要な存在だ。
そんな透と薫も、初の海外ロケが行われた、2005年10月22日公開の『まだまだあぶない刑事』では、透が捜査課課長に、薫が少年課課長に昇進。くわえて新しい港署の伝説バディを目指すべく、佐藤隆太、窪塚俊介が、薫的ポジションに水川あさみが登場し、港署の世代交代を匂わせた。
2012年に発売されたDVDマガジン「あぶない刑事 全事件簿」の累計120万部突破を受け、2016年1月30日に『さらばあぶない刑事』が公開される。
タカとユージの定年退職までの5日間を描く本作では、タカの恋人役に菜々緒、ユージが更生させた元不良に吉沢亮が出演。国際的犯罪組織の悪役である吉川晃司のシンバルキックを交えたタカとの戦いは必見だ。