ある朝、田上が目ざめたとき、自分のイチモツがなくなってしまっているのに気づいた‥‥。意表を突く始まりに驚かされる『ポプラン』は、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督が、10年間構想を温めてきた念願の映画。出演は、第2の『カメ止め』と言われた『メランコリック』をプロデュース・主演した皆川暢二、映画監督・俳優としても活躍するアベラヒデノブ、映画・テレビ・舞台で活躍の幅を広げる徳永えり、さらにベテランの原日出子、渡辺裕之夫妻が夫婦役で共演するなど、多彩なキャストが顔を揃える。
これは下ネタなのか?カフカばりの不条理劇なのか?それとも‥‥と思わせつつ、上質のコメディかつ、ロードムービーかつ、ヒューマンドラマでもあるという、次々とジャンルを横断して観客を観たことのない地平の映画へと誘う上田監督。
『カメラを止めるな!』の大ヒットから4年。映画監督として成功し、次々と新作を撮ってきた上田監督は、かつて映画監督になることがゴールだと思っていたそうです。その夢が叶ったとき、それがゴールではなかったことに気づきます。映画大好きな業界の人たちと語り合う予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が上田監督に、どのようにしてこんな奇想天外な企画を思いついたのか、そして構想10年の道のりをうかがいました。
人生が追いつくことで撮れた構想10年の『ポプラン』
池ノ辺 『ポプラン』とっても面白かったです!どうしてイチモツで映画を撮ろうと思ったんですか?
上田 今37歳なんですけど、20代後半の頃に、ある朝起きたら突然自分のイチモツがなくなって‥‥。
池ノ辺 なくなってた!?
上田 いえ、空想です(笑)。ある朝起きたら、自分のイチモツがなくなっていて、それを探す話というのを、ふと思いついたんです。
池ノ辺 そんなこと、普通、思いつきます?
上田 20代後半の頃に、誰に頼まれたわけでもないんですけど、1週間に1本オリジナル企画を考えようって自分に課していて、その時に思いついたんですよ。そういうアイデアは山ほどあるんですけど、もう忘れちゃったような物もある中で、『ポプラン』は10年間ずっと残っていたんですね。作られるのを待ってくれていて、この映画は出来たという感じがしますね。