『GODZILLA 決戦機動増殖都市』が公開された。昨年秋に公開された『GODZILLA 怪獣惑星』に続く、全3章からなるCGアニメ映画『ゴジラ』の第2作だ。(http://godzilla-anime.com/)
20世紀末から地上に現れ始めた“怪獣”。それから半世紀近くがたち、人類は他2つの異星人とのコンタクトも経てとてつもなく高い科学技術をも持つに至っているが、それでも怪獣の脅威…中でも抜きんでた破壊力を持つゴジラにより存亡の危機に立たされた。一部の人類は地球を捨て、遙か彼方の惑星への移住を計画することとなる。 だが出発から20年近く。目的地としていた惑星は移住には適さないことが判明。もはや行き場を失い、宇宙船の資源も限られてきた3つの種族は未来への希望も消えかけていた。 最後の希望をかけて地球へと戻る人類たち。宇宙船内では20数年だが、亜空間航行による影響で地球上では約2万年(!)が経過していた。 かつての文明は全て朽ち果て、大自然に覆われている地球。だが…ゴジラはまだ生き残っており、ここに、人類とゴジラの生存と地球の覇権をかけた戦いが始まる。
…というのが序盤のおおまかなあらすじだ。第1章で何が起き、そして第2章へと続いているのかはネタバレでもあるし野暮なこととなるので触れないが、2作ともとにかく観客を驚かせる展開が続く。
「アニメ(それもCG)で『ゴジラ』を作る」という発表があった時に、僕もふくめ多くの人が驚いた。まだ『シン・ゴジラ』大ヒットの記憶も新しかったこともあり、まさかの新作がアニメ作品になるとは思わなかったからだ。この点、この企画はスタート時点から古くからの『ゴジラ』ファンを相手に、かなりのアウェイ勝負となったのは事実だろう。第1章が公開されても評価はわかれた。特撮ファンの中からは否定的な反応も多かった。アニメであることに加え、従来のどの『ゴジラ』映画とも異なるストーリー展開から「これを『ゴジラ』と呼んでいいのかは難しい」というような声も聞かれた。一方、その言葉の後にこう続けた人も多かった。 「これを『ゴジラ』と呼んでいいのかは難しい…が、SFアニメとしてはめちゃくちゃ面白い」 実は僕もそう思った1人だ。ただ、第2章まで見て、その「これを『ゴジラ』と呼んでいいのかは難しいが…」も無くなった。これは全く新しい『ゴジラ』神話の再起動だ。
同作は静野孔文・瀬下寛之2名の共同監督制で制作がされている。両名が手がけヒットした3DCGによるSFアニメ『シドニアの騎士』同様に、この『GODZILLA』も同じく手描きアニメ風の画を3DCGで再現する“セルルック”CGで描かれている。 本作が発表時から様々な意味で注目を集めたのには、「『ゴジラ』をアニメで作る」ということだけではない。そのアニメがCGであること。それもセルルックであること。さらに、ストーリー構成・脚本に虚淵玄の名前があったことがアニメファンからは大きな注目を集めた。アニメでは大ヒットとなった『魔法少女まどか☆マギカ』で注目され、その後も『仮面ライダー鎧武』や、SFアニメ『アルドノア・ゼロ』などの人気作を手がけている。虚淵脚本の作品はどれも一筋縄では行かない、見る者の予想を(もちろん良い意味で)裏切る物が多い。 『ゴジラ』×セルルックCG×『シドニアの騎士』コンビの監督×虚淵ストーリーという組み合わせがどうなり、いったい何が生み出されるのか。誰にも想像が出来なかった。
アニメ『GODZILLA』はまさにその不安と戦い、期待に応えた。 口から発する強大な熱線砲の破壊力。その巨躯のスケールはこれまでの実写版のどれをも遙かに超える。挑む人類の武器はわずか。立ちはだかる大自然や怪生物など地の利すらない。それは考えるまでもなく勝ち目が全く見えない圧倒的に不利な条件設定の戦いだ。とてつもない“詰め将棋”が画面に展開する。これをどう覆していくのか?力技の作品に見えながら、その戦いは果てしなく頭脳戦であり、それが最大の見所だ。 平行して展開し描かれる“怪獣”という存在の謎。人間がいなかった2万年で一体何が起こったのか…。 最終章となる第3作『GODZILLA 星を喰う者』は11月に公開予定。この第2作では“あの怪獣”の存在が示唆され、描かれていることなどからは「ん?コレって“アレ”?」という要素もチラホラとにおわされている。3作目で何が起こりどうなるのか(そもそも人類に勝利があるのかどうかすら)全く想像が出来ない。とにかく楽しみだ。