2月に入り受験シーズンも本格化してきた。予備校などの前を通るたびに高校受験、大学受験。あの頃なにやっていたかなー…などと思い返すが、大学受験の時は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を3回見に行ったことが最大の思い出という時点で、どんな結果だったかは書くまでもない。
受験をし進学をするか就職をするのかは人によるが、自分がそうであったように、この時期は多くの若い人らにとって「=進路を考える時期」であるし、その進路とは進学のことではなく「このさき自分はどうしたいのか」でもある。ただ、自らを思い返しても「じゃあ“この先”ってのは具体的になんなの?」というのがわからなかったりするわけで、結局それが青春の壁というものになる(苦笑)。 深夜にアニメ『宇宙よりも遠い場所』を見ていて、ふと、そんなことを思い返してしまった。
『宇宙(そら)よりも遠い場所』は18年1月期アニメ。ストーリーを簡潔に説明すれば「女子高校生が南極に行く」というものだ。タイトルは、元宇宙飛行士の毛利衛氏がかつて南極・昭和基地に招かれた際に語った「宇宙よりも遠いですね」という言葉に由来する。ロケットの発射から宇宙につくまでは数分。しかし南極は赤道を抜け、氷を割り、たどり着くのに何日もかかる。単純な直線距離だけで考えても日本から14,000km。ISS(国際宇宙ステーション)がある地上約400km上空よりも遠い。 数多くのメジャー作・名作を生み出してきたマッドハウス制作による作品で、メインスタッフには劇場版も製作されヒットした『ノーゲーム・ノーライフ』の監督・いしづかあつこと脚本・花田十輝が再び組んでいる。花田氏は空前の大ヒットとなった『ラブライブ!』シリーズや『響け! ユーフォニアム』も手がけたと書けば、アニメはたまに見るというていどの人でも、どれかの作品を目にしたことがあるかもしれない。
この作品は原作ナシのオリジナル企画作品だ。アニメに限らず映画もドラマもだが、作り手にとっても見る側にとってもやはりオリジナル企画は醍醐味がある。オリジナルであるからこそ、放送が開始されるまで多くの視聴者にとってはどのようなテイストの作品であるのか謎に包まれている部分もあり、それが姿を現してくる驚きがある。 今作は、見るまではそのビジュアルから「いわゆる“ゆるふわ”系かな?」と思っていた。だが第1話を見てガッチリと心を掴まれてしまった。エピソードを見進めていく中、どんどん引き込まれている。姿を現した作品は、それほど見事で心地の良い青春ものだった。