コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第119回
俳優の福山雅治が、7月31日にTOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われた、映画『三度目の殺人』のレッドカーペットイベント、及び完成披露試写会舞台挨拶に登場した。
「あんまり『ましゃ!』(福山の愛称)って言われるのは恥ずかしいんですが(笑)」と、照れながらレッドカーペットに登場した福山は「皆さんにお見せできるのを楽しみにしていました」と、集まったファンに挨拶していた。
本作で福山は、勝つことにこだわりを持つ敏腕弁護士の【重盛】を演じているが、メガホンを執った是枝裕和監督とは『そして父になる』(2013年)以来、2度目のタッグとなる。 福山は「是枝監督とは2回目になりますが驚きの連続です。前回の『そして父になる』の時もそうで、子どもたちに台本を持たせず、現場でセリフを言ってもらって、それに僕がついていくという感じでした。凄いなと思いながらも面白なぁとも思ってました。今回は、クリエイティブな森の中にいるというか、ああでもない、こうでもないと葛藤して、ハラハラしながらもワクワクしていて、仕上がりを見たら見事なところに着地していたので、より奥行きと鋭さが増したように感じました」と語っていた。
そんな福山演じる【重盛】の同期の弁護士【摂津大輔】を演じた吉田鋼太郎は「福山さんとは初共演だったんですが、最初の本読みの時から嫌な奴だなと思いました。「何だコイツ!」って。目も合わせないし、一言も口をきいてくれないし。挨拶程度はしてくれたんですが、「あぁやっぱりスターだからこういう人なんだ」って思って。この人とやっていくの嫌だなと思っていたんですが、その後は普通に接してくれたので、緊張なさってたのかなと今では思っています」と、福山に対してグサリ。すると福山は「50近くにもなってこんなこと言うのもあれなんですが、基本僕は人見知りなんですよ(笑)」と告白し、吉田を納得させていたのだった。
また、被害者の娘【山中咲江】役を務めた広瀬すずは「是枝監督の作品は2作目(前回は『海街diary』)なんですが、今回は今まで見たことないような監督の表情がたくさん見られた現場でした」と、2度目の是枝組を振り返ると、その広瀬に対して福山は「是枝監督やリリーさん(リリー・フランキー)とかに聞いたんですが、広瀬すずちゃんに会うとみんな甘酸っぱい気持ちになるんですって。僕も実際に会った時は、まぁ甘酸っぱくなったんですよ。何なんですかね?」と、もうその魅力に首ったけの様子だった。
なお、本作は、「第74回ヴェネチア国際映画祭」(8/30〜9/9)のコンペティション部門に正式出品されることが決定しているが、そのことについて「いやぁ嬉しいです。前回、『そして父になる』で初めて海外の映画祭(カンヌ国際映画祭)に行かせて頂いたんですが、監督は賞を頂いたし、僕はレッドカーペットも歩けたし、スタンディングオベーションも味わったし、何もかもが初めてで、全てが良い経験でした。またあんな経験ができるのかと思うと嬉しいですし、もし行くことができたら今度はどんな景色が見られるのか楽しみです。もし行けたらですけど」と、今からすでに胸を躍らせていた福山なのであった。
当日はその他、是枝裕和監督、出演の役所広司、斉藤由貴、満島真之介が出席した。
映画『三度目の殺人』(東宝/ギャガ配給)
映画『三度目の殺人』(東宝/ギャガ配給)は、『そして父になる』の是枝裕和監督と福山雅治が再びタッグを組み、是枝監督のオリジナル脚本で描いた法廷心理ドラマ。
監督・脚本:是枝裕和 出演:福山雅治、役所広司、広瀬すず、満島真之介、市川実日子、松岡依都美、橋爪功、斉藤由貴、吉田鋼太郎 ほか