Apr 25, 2017 interview

第2回:『この世界の片隅に』のように劇場からいいムーヴメントを作りたいんです。

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池ノ辺直子の「新・映画は愛よ!!」

Season15  vol.02 東京テアトル株式会社 映像事業部編成部長 西澤彰弘 氏

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映画が大好きで、映画の仕事に関われてなんて幸せもんだと思っている予告編制作会社代表の池ノ辺直子が、同じく映画大好きな業界の人たちと語り合う「新・映画は愛よ!!」

Season15の第2回目は、アニメーション映画『この世界の片隅に』の大ヒットで乗りに乗っている東京テアトル株式会社、映像事業部編成部長の西澤彰弘さんに、引き続き『スウィート17モンスター』のお話や、なぜ宣伝や配給じゃなく編成の仕事を選んだのかなどのお話を伺います

→前回までのコラムはこちら

池ノ辺直子 (以下 池ノ辺)

前回、西澤さんの「負けられない戦い」っていうのにすごくインパクトを受けたんですけど、海外の可愛い青春映画を劇場でかけるっていうのがもう懸けなんですね、今の時代。

西澤彰弘 (以下、西澤)

前回も言いましたけど、今の時代、重厚な人間ドラマが多すぎなんですよ。

東京テアトルでは、有楽町などで、その手の人間ドラマをかけたり、戦争モノを上映したり、もちろんアートシネマをかけたりするんですけど、一昔前、1980年代は定番のように青春映画がかかっていたでしょ。

池ノ辺

私も予告編、80年代、90年代、たくさん作りました。

「ブレクファスト・クラブ」に「プレティー・イン・ピンク」『リアリティ・バイツ』・・・。

西澤

僕、その時代の青春映画、青春コメディが大好きなんです。

ところが、何年か前から、日本では客が入らない。

アメリカでヒットしても、評価が高くても、日本ではなぜか入らない。

ホラーやサスペンスは入るのに。

『スウィート17モンスター』は観ていただくとわかるんですけど、若い人はもちろん、むしろ30代、40代の大人の方が、「昔、こういうことあったよな」といろんなことを思い出す映画になっている。

もちろん、僕らの時代には携帯電話はなかったし、そういうSNSの描写では圧倒的に違うんですけど、でも、ヘイリー・スタインフェルド演じるヒロインの陥るダメダメパターンがすごく共感できる。

池ノ辺

どんくさい子なんですよね。

何やっても、悪い方向にいっちゃうような、いまどきの子。

西澤

ほんと、あの「あるあるパターン」が面白い。

でもね、僕らサラリーマンですから、上映して終わりじゃなく、興業の成績が上がらないと怒られちゃいますし、売上取らなきゃいけない。

だから、この作品は肝なんです。

池ノ辺

東京テアトルさんは「これはいける」という作品に関しては、ちゃんと数字あげていますよね。

西澤

そうですね、うちは数字の面でいうと、ここ3年間、年間の興行収入はずっと上がってきているんで、それもあって負けていない戦いになっている。