Nov 03, 2022 news

“湿地の少女”は本当に殺人事件の犯人なのか?警察vs孤独なヒロインの逃走劇 映画『ザリガニの鳴くところ』

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2019年&2020年の2年連続 アメリカで最も売れた本に輝き、日本でも2021年本屋大賞翻訳小説部門第1位を獲得、全世界累計1,500万部突破の大ヒットミステリーを映画化した、映画『ザリガニの鳴くところ』。

先日予告映像が解禁されるや、世界中を魅了した“ただのミステリーではない”繊細な原作世界がどのように映像化されたのか、原作ファンから期待の声が相次いでいる。そんな中、ミステリーの重要なポイントとなる本編映像が解禁された。

解禁されたのは、湿地で起きた殺人事件の容疑者となった主人公の少女・カイアが警察の船に追われるシーン。湿地の中で警察の船に遭遇してしまったカイアは、器用に船を操って複雑な地形の湿地の中を自在に逃げ始める。途中で船から陸地におりて走るシーンや、さらにワニも住む湿地の水の中を泳いで逃げる疾走感あふれる逃走劇が展開。しかし、泳いで逃げるカイアはついに警察に捕まってしまう‥‥。

本作は実際にノースカロライナの湿地帯で撮影されており、原作小説からそのまま飛び出したかのような美しい風景とともに、湿地の中にたった一人で生き延びた少女・カイアが暮らす世界観がわかる一面となっている。カイアを演じた女優デイジー・エドガー=ジョーンズが高校時代にダイビングをやっていたという経験も生かされており、船の操縦や湿地をはだしで歩くシーンなど、デイジーはほとんどのシーンをスタントではなく自身で演じているのも注目。

デイジーが演じる主人公・カイアは6歳で家族に見放され、学校にも通わずに社会から見捨てられたった一人で湿地の中で生きていた無垢な少女。しかし、過酷な半生にもかかわらず、町の人々はそんな彼女を“湿地の娘”として疎み、指紋も証拠もない殺人事件の犯人ではと噂しはじめたことから容疑者として裁判にかけられることとなる。

映像の最後には警察署に連行されるカイアをさも犯人と決めつけているような町の人々の声と、それにおびえるようなカイアの姿も描かれている。デイジーはカイアを奇異な目で見る町の人々について「カイアに対する町の人々の仕打ちは、自分の問題ではなく、彼らの方の問題なんです。町の人々にとって、彼女は伝説のような存在になっています。誰もが、沼地に暮らす伝説の“湿地の少女”という概念にとらわれてしまっている。彼女が家族に見捨てられた少女に過ぎず、自分たちが誰一人として彼女に手を差し伸べてこなかったことを理解していないのです。だから、殺人事件が起きた時に彼らは真っ先にカイアを犯人として名指しするんです」と語り、まさに現代にも共通する問題もさりげなく描かれているのがポイント。

はたして、無垢で孤独なヒロイン・カイアは本当に殺人事件の犯人なのか?それとも“湿地の少女”というだけで犯人とされてしまっただけなのか?映画『ザリガニの鳴くところ』は、11月18日(金)より全国公開。

作品情報
映画『ザリガニの鳴くところ』

ノースカロライナ州の湿地帯で、将来有望な金持ちの青年の変死体が発見された。容疑をかけられたのは、‟ザリガニが鳴く”と言われる湿地帯でたったひとり育った、無垢な少女カイア。彼女は6歳の時に両親に見捨てられ、学校にも通わず、花、草木、魚、鳥など湿地の自然から生きる術を学び、ひとりで生き抜いてきた。そんな彼女の世界に迷い込んだ、心優しきひとりの青年。彼との出会いをきっかけに、すべての歯車が狂い始める‥‥。

監督:オリヴィア・ニューマン

原作:ディーリア・オーエンズ/友廣 純 訳「ザリガニの鳴くところ」(早川書房)

出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ、テイラー・ジョン・スミス、ハリス・ディキンソン、マイケル・ハイアット、スターリング・メイサー・Jr. 、and デヴィッド・ストラザーン

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

2022年11月18日(金) 全国公開

公式サイト zarigani-movie.jp