ブレンダン・フレイザー インタビュー
ーー15年ぶりの来日ですが、前回は『ハムナプトラ3』のPR来日でミッシェル・ ヨーさんと来日されていましたね? 久しぶりの日本で行ってみたい場所や、食べたいものはありますか?
桜が散ってしまって悲しい思いではありましたが、少し見ることができてうれしかった。とても美しかったです。今回は京都や大阪に行きたいと思っています。美味しいラーメン屋など誰かご存知であれば教えてほしいな。あと、カメラ屋さんに行ってカメラを買いましたよ。ミシェル・ヨーさんとはこの6カ月間、様々な授賞式などでたくさん会う機会がありました。いい友達だし、ミシェルとともに歩めたことをとても誇りに思うし、うれしく思います。
ーー特殊メイクでの撮影でしたが印象的だったことを教えてください。どんなところが特に大変でしたか? また逆に、面白かったこと、楽しかったことはありますか?
この映画は努力をしてやっと手に入れる“希望や贖罪”の物語です。愛に対して決して諦めないことを描いています。自分を傷つけるように過食をし、疎遠になってしまった家族がいる。私が演じたチャーリーは、外見では分からないもっと多くのものを持っているキャラクターです。
今回そんなチャーリーを作り上げるためには、特殊メイクが必要でした。私はその過程にも興味があって撮影はとても面白かったです。そして特殊メイクをしてくれたエイドリアン・モロットも共にメイクアップ&ヘアスタイリング賞でオスカーを受賞しました。
デジタルでの表現ではなく、身体的な表現が今回は必要で物理的な重力の法則に則った作りをしています。チャーリーと出会うことで観客の皆さんはきっと彼が好きになると思います、僕がそうであったようにね。
ーー共演の俳優さんたちの素晴らしさについて繰り返し話されていたことが印象的でした。共演者の方々との印象に残っているエピソードを教えて頂けますか?
コロナ禍で制作した作品でした。再び人と集まり、楽しめるという事は本当に素晴らしい。これは忘れてはいけない事だと思いました。この映画には”5人の共演者が演じるキャラクター”という秘密の材料があるんです。
皆がそれぞれ慎重に、お互いの事を思いやりながら作りました。それがこの作品を特別なものにしていて、その思いがスクリーン越しに溢れています。2020年から22年に作られた他の作品にも、きっとそういうものがあると思います。
実はホン・チャウは撮影の前に出産したばかりでした。彼女が赤ちゃんの面倒を見られるように、皆で時間をとれるように思いやりを持っていました。セイディー・シンクは‥‥”ワォ!”です。本当にすばらしい才能の持ち主で、32年キャリアがある私からみても驚異的。怒りを表現するキャラクターですが、観客の皆さんに忘れないでほしいのは、彼女は心に痛みを抱えている若い女の子ということです。
彼女が大好きなんです。タイ・シンプキンスは、この作品で何かを成し遂げ成長していくのを見届けられたような気がします。それはとても素敵なことでした。偉大なるサマンサ・モートンは、映画の中では私の元妻役です。素敵な共演、楽しかっただけに(劇中で)夫婦関係が上手くいかなかったことを少し残念に思う自分がいます(笑)。
ーー大好きな作品が『ハムナプトラ』です。もう一度アクション映画に出演する機会 はありますか?
今回アカデミーをいただいたのでユニバーサルの方(『ハムナプトラ』制作)がまた僕をキャスティングしてくれることをみなさんも祈ってください(笑)。
最後に、ブレンダンは、目の前の観客、Zoom参加者へ向けてこうメッセージを送り舞台挨拶を締めくくった。
「今日は、足を運んで下さって心の底から感謝しています。ファンの皆さんの事を心から愛しています。私がこうしていられるのも皆さんのおかげだから」
言葉ひとつひとつゆっくりと感謝と万感の思いを伝え、寄せられた質問に対して時にユーモアを交えながらも真摯に答えるブレンダンへ大きな拍手が送られた。
ボーイフレンドのアランを亡くして以来、現実逃避から過食状態になり健康を害してしまった40代の男チャーリー。アランの妹・看護師のリズの助けを受けながら、オンライン授業でエッセイを教える講師として生計を立てているが心不全の症状が悪化し、命の危険が及んでも病院に行くことを拒否し続けている。しかし、自分の死期がまもなくだと悟った彼は、8年前、アランと暮らすため家庭を捨てて以来別れたままだった娘エリーに再び会おうと決意。彼女との絆を取り戻そうと試みるが、エリーは学校生活や家庭に多くの問題を抱えていた‥‥。
監督:ダーレン・アロノフスキー
原案・脚本:サム・D・ハンター
出演:ブレンダン・フレイザー、セイディー・シンク、ホン・チャウ、タイ・シンプキンス、サマンサ・モートン
配給:キノフィルムズ
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公式サイト whale-movie.jp