コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第221回
俳優の長瀬智也が6月16日に丸の内ピカデリー1で行われた、映画『空飛ぶタイヤ』の公開記念舞台挨拶に登壇した。
「社長役ということで、自分とはかけ離れたところもあったんですが、この役から学ぶことも多かったです」 そう口にしたのは、本作でトレーラーの脱輪事故で整備不良を疑われ苦悩する、赤松運送の二代目社長【赤松徳郎】役を務めた長瀬。
もはやキラキラとしたアイドルであることを忘れてしまうほどに年々渋みを増し、ギラギラとした魅力的な俳優へと変貌を遂げている長瀬だが、サプライズで感謝の手紙を読んだ本木克英監督も「そもそもこの映画は、あなたが【赤松徳郎】役を引き受けてくれたから出来たんです。(役作りに関しても)アイドル長瀬智也ではなく、赤松徳郎として言葉を発していました」と役者としての長瀬の姿勢を称賛すると、さらに「撮影の最終日に、『これでしばらくアイドルに戻ります』とおっしゃってましたが、あなたはアイドルに戻らなくていい。俳優・長瀬智也が次にどんな役に挑戦するのかが見てみたい」と期待を込め背中を押す本木監督だった。
それら言葉の数々を受け取った長瀬は「手紙ありがとうございました。感動しました。心に響くものがありました。僕は思ったことをすぐに言っちゃう方なんですが、監督の器の大きさやこれまでのキャリアみたいなものがあったからこそ、僕も思い切り出来ましたし、何よりそれは共演した役者の皆さんのおかげでもありました」と感謝の言葉を口にしていた。
しかし、そんな深い絆で結ばれた長瀬と本木監督ではあったが、冒頭の挨拶で本木監督が「誰一人“問題を起こさず”に、この日を迎えられて良かったです」とチクリとトゲを刺すと、そこには俳優・長瀬ではなく、苦笑いを浮かべるTOKIO・長瀬の姿があった。
ちなみに、赤松徳郎の妻【赤松史絵】を演じた深田恭子は、長瀬との共演について「すごく久しぶりだったので、撮影中は懐かしい思い出話をしてましたね」と明かすと、対して「キョンちゃんとは前回の作品でも夫婦役だったんですが、素敵な女性になられてキュンキュンしてましたよ」と、キョンにキュンする長瀬だった。
舞台挨拶にはその他、出演のディーン・フジオカ、高橋一生、寺脇康文、阿部顕嵐、六角精児が登壇した。
映画『空飛ぶタイヤ』(松竹配給)
映画『空飛ぶタイヤ』(松竹配給)は、トラックの事故により一人の主婦が亡くなったことがきっかけで物語が大きく展開していく、テレビドラマ化もされた池井戸潤による同名ベストセラー小説を新たに映画化した作品。
監督:本木克英 脚本:林民夫 出演:長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生、深田恭子、岸部一徳、笹野高史、寺脇康文、小池栄子、阿部顕嵐、ムロツヨシ、中村蒼、柄本明、佐々木蔵之介、和田聰宏、木下ほうか、浅利陽介、六角精児、大倉孝二、津田寛治、升毅、谷村美月、近藤公園、村杉蝉之介、渡辺大、矢野聖人、田口浩正、斎藤歩、岡山天音、矢島健一、津嘉山正種、毎熊克哉、井上肇、高川裕也、木下隆行、木本武宏、池上紗理依 ほか