Jun 09, 2018 news

恩師の死から1ヶ月、吉岡里帆が改めて女優を目指した原点を回顧

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コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第219回

女優の吉岡里帆が6月8日、撮影でも使用されたベリーベリースープ 原宿神宮前店で行われた、映画『STAR SAND -星砂物語-』のDVD発売トークイベントに出席した。

『とても良い映画に巡り会えたね』 そう家族から言われたという吉岡。

本作では、大学の卒業論文の題材として戦時中の沖縄をテーマにすることを示唆され、教授から一冊の日記を手渡される女子大生【保坂志保】を演じている吉岡だが、「普通の戦争映画とは違って、銃撃戦だったり苦しんでいる人の姿を描いている以上に、小さな、それこそ星砂のような希望を描いている映画です」と紹介すると、さらに「一番好きなセリフというか、“逃げることは悪じゃない”というテーマがとても素敵で、それを思いながら私も本編を観ていました」と打ち明けていた。

また、撮影を振り返り「共演した方々がとても素敵でした」と口にした吉岡は、「緑魔子さんだったり、石橋蓮司さんだったり、そんな名優の方々と短い時間でしたがご一緒できて本当に貴重な経験でした。私は、唐十郎さんの戯曲を演じさせて頂いたことが、演劇の世界に入ったきっかけなんですが、(唐と所縁の深い)魔子さんの話を聞くことができてとても面白かったですし、旦那さんである石橋蓮司さんの奥さんへの愛も素敵でした」と語り笑顔を見せると、最後には「夏が来ると戦争を思い出すものですが、戦争を知らない若い人や戦争の一片を知っている人にも、この映画のメッセージ(逃げることは悪じゃない)が伝わればいいなと思っています」と締めくくっていた。

去る5月8日に、所属事務所「エーチーム」の代表取締役社長を務めていた小笠原明男氏を亡くし、憔悴しきっていた吉岡だったが、23日には自身のInstagramを再開し「大切な人を失い遣る瀬ない気持ちでいっぱいで、いつもみたいに明るい投稿ができそうに無いと思いしばらく更新をお休みしていました。ですが立ち止まっている事も出来ませんし、頑張りたいと思うお仕事も頂き皆さまにまた見て頂きたいとも思いました。心から応援に救われた日々でした。ありがとうございます」と前向きなコメントを投稿している。

女優としても、そして人間としてもまた一つ成長しつつある吉岡。これからも応援してくれるファンのため、何より自分自身のために、歩みを止めず、一番の“支援者”でもある家族から再び『とても良い映画に巡り会えたね』と言ってもらえる日が来ることを期待して。

ちなみに今後は、10月12日(土)に出演映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』の公開が控えている。

イベントにはその他、ロジャー・パルバース監督、出演の織田梨沙が出席した。 なお、DVDのセル・レンタル、および配信は6月2日より開始している。

映画『STAR SAND -星砂物語-』

映画『STAR SAND -星砂物語-』は、日本の映画や文化に造詣の深いアメリカ人作家ロジャー・パルバースが、太平洋戦争下の沖縄を舞台に書いた小説を自身の脚本で映画化した、初監督作品。

監督・脚本:ロジャー・パルバース 出演:織田梨沙、満島真之介、ブランドン・マクレランド、三浦貴大、吉岡里帆、寺島しのぶ、渡辺真起子、石橋蓮司、緑魔子 ほか

佐々木誠

「日刊 情報プレス」編集者 (有)情報プレス社が発行する「日刊 情報プレス」は、映画業界のニュースやイベント、興行成績、劇場公開情報など、映画に関する様々な情報を掲載。また、Facebookページでは、【情報プレスα】(www.facebook.com/joho.press.jp)として、映画の舞台挨拶やイベントの模様を面白可笑しく掲載中。日々アップしている。