コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第165回
女優の木村文乃が、11月21日にスターライズタワーで行われた、映画『伊藤くん A to E』の完成披露試写会舞台挨拶に登壇した。
女たちを振り回す超モンスター級の痛男(いたお)、伊藤くんこと【伊藤誠二郎】役を務めた岡田将生は「こういう役を望んでたんですよね。今までの役とは違うものをやりたいと思っていたので、良いタイミングで来たなラッキーって思ってたら、思った以上にヤバイ奴でした(笑)」と、岡田将生史上最低の痛男を演じたことに若干の後悔をのぞかせながらも、「こんなクズでダメでアホな奴とこの夏過ごすことができて気持ち良かったです」と、晴れやかな表情を浮かべていた。
対して、崖っぷち脚本家の毒女(どくじょ)、【矢崎莉桜(E)】役を務めた木村は「このお話を読ませて頂いた時に、これほど女というものを痛いと感じさせる作品なんだなと思いました。人を罵っていた莉桜ですが、その指先がいずれ自分の方に向かうことになり、廣木さん(廣木隆一監督)からも『いずれ返ってくるからな』ってニヤニヤしながら言われていたので怖かったです(笑)」と、木村文乃史上最強の毒女を演じたことに若干の恐怖をのぞかせていた。
その木村について、岡田は「クランクイン前に、監督やスタッフ、文乃さんと一緒に食事会をしたんですが、そこで文乃さんとはお互いに漫画が大好きだということが判明し、漫画の話をずっとして仲良くなりました」と明かすと、木村も「今日も顔を合わせてからずっと漫画の話しかしてないです(笑)」と口をそろえていた。
そして、岡田演じる“伊藤くん”に振り回された女性たち。
A【島原智美】役の佐々木希が「すごく嫌な気持ちになりました」と先陣を切ると、B【野瀬修子】役の志田未来は「(伊藤の)圧迫感がすごいなと思いながら現場に居ました」と吐露。C【相田聡子】役の池田エライザが「関わりたくないです」と突き放すと、D【神保実希】役の夏帆は「すごく傷付きました」とおかんむり状態。木村に至っては「この野郎!って思ってたよ」と、隣に立つ岡田に向き直り鋭い視線を投げつけていた。
そんな罵詈雑言を一斉に浴びた岡田は「僕は何も思わずにやってたんですけど」と淡々と話し始めるも、「テストが終わってカットがかかると、みんなから『気持ち悪ぃ』って言われて胸にクッときましたね。でも伊藤くんだから! 俺じゃないから!」と、激しく否定していたのだった。
舞台挨拶にはその他、廣木隆一監督、出演の中村倫也、田中圭が登壇した。
映画『伊藤くん A to E』(ショウゲート配給)
映画『伊藤くん A to E』(ショウゲート配給)は、「ランチのアッコちゃん」など数多くのヒット作を生み出してきた、人気作家・柚木麻子が2013年に発表し、直木賞候補にもなった同名小説を映画化した恋愛ミステリー。
監督:廣木隆一 脚本:青塚美穂 出演:岡田将生、木村文乃、佐々木希、志田未来、池田エライザ、夏帆、田口トモロヲ、中村倫也、田中圭 ほか