コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第164回
人気声優の花澤香菜が、11月18日にTOHOシネマズ 新宿で行われた、映画『GODZILLA 怪獣惑星』の公開記念舞台挨拶に登壇した。
本作は、これまでのどんな『ゴジラ』とも一線を画す、シビアでハードな未来世界を舞台に、2万年もの間、地球に君臨し続けてきたゴジラとそれに対峙する人類との因縁の物語を全3章で描いた、『ゴジラ』シリーズ初の長編アニメーション作品となるが、メガホンを執った瀬下寛之監督は「アニメで『ゴジラ』は「無理無理無理」と思ってたんですが、話を聞いたら虚淵さんと静野さんもと知って、じゃあ、陰に隠れたらどうにかいけるかなと思いました(笑)」と、本音を吐露。同じくメガホンを執った静野孔文監督に至っては「『ゴジラ』については、名前と、ちょこちょこテレビでやってるのを5分か10分観たことがあるくらいです(笑)」と告白する始末。
では一体どんな作品が出来上がったのだろうか? シリーズ構成とストーリー原案、そして脚本を担当した虚淵玄氏は「アニメでやると言われた時は、『ゴジラ』は特撮でやるものだからと最初はお断りしました。ただ、その時はまだ極秘事項だったんですが、「特撮の方(『シン・ゴジラ』)は今、庵野さん(庵野秀明)が作ってます」って聞かされて、「じゃあ、やります」って言ったんです」と、製作の経緯について語ると、「『シン・ゴジラ』には過大な期待を寄せまくっていて、話題は『シン・ゴジラ』一色になると思っていたので、アニメもドサクサに紛れてやってしまおうと思ったんです(笑)。でも、『シン・ゴジラ』はこんな話になるのかなという予想を作っておいて、そっちでやらなそうなのを考えてました。きっと、宇宙には行かないだろうなぁとか、X星人は出ないだろうなぁとか(笑)」と明かしていた。
そんな彼らが作り上げたアニメ『ゴジラ』、通称“アニゴジ”に魂を吹き込んだのが、【ユウコ・タニ】役の花澤だ。 今回の企画を聞いた時のことについて花澤は「なるほど。このゴジラは宇宙規模で描くんだなと思いました。ただ、自分が『ゴジラ』に出演するという実感がなくて、でも、11月3日が「ゴジラの日」に制定された時に立ち会うことができたので、その時に「あぁ、ゴジラに関わってるんだな」という実感が湧いてきたんです」と打ち明けると、自身が演じた役柄については「ユウコは紅一点なんですが、誰かに守られるんじゃなくて、自分で戦いに行く強い部分があります。ハルオのことを信じていいのかと探りを入れながら、最初に2人でボソボソ話すシーンは好きですね。ユウコは絶対ハルオのこと大好きなんです!このやり取りが2章にも続いていくんじゃないですかね? そのラブストーリーの部分も観てほしいです」と、見どころを熱く伝えていた。
そして、ハルオこと【ハルオ・サカキ】を演じた宮野真守は、出来上がった作品について「パンフレットにもありますけど、科学的な考察が凄いんですよ。ハルオの考察とかも自分で書いたんですって。だからこそ、1シーン1シーン嘘がなくて説得力があるんですよね。全部イチから作っていったということで、相当な作業でしたでしょうし、愛情がないと出来ないと思います」と、緻密に作り上げていった監督らの手腕に感嘆の声をあげていた。
なお、スクリーンでは、2014年にハリウッドで製作・公開され、全世界で500億円以上の興収を記録した『GODZILLAゴジラ』のメガホンを執ったギャレス・エドワーズ監督からの「日本における私のお気に入りは2つ。ゴジラとアニメだ。これらがついに合体し、圧倒的なビジュアルを誇るアニメが誕生した。ビジュアル的に息を呑むほど素晴らしいアニメ、こんなゴジラは今まで見たことがない」というメッセージが投影されると、喜びのあまり壇上で抱き合う瀬下監督と宮野の姿があった。
映画『GODZILLA 怪獣惑星』(東宝映像事業部配給)
映画『GODZILLA 怪獣惑星』(東宝映像事業部配給)は、巨大な怪獣たちが支配する2万年後の地球を舞台に、故郷を取り戻すべく帰還した人類の闘いを描いた、長編アニメーション3部作の第1章。
監督:静野孔文、瀬下寛之 脚本:虚淵玄 声の出演:宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、諏訪部順一、小野大輔、三宅健太、堀内賢雄、中井和哉、山路和弘 ほか