コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第153回
第30回東京国際映画祭が10月25日に開幕し、「Japan Now」部門の特別企画【銀幕のミューズたち】から、安藤サクラ、蒼井優、満島ひかり、宮﨑あおいの日本を代表する豪華4人の女優陣がそろって、六本木EXシアターで行われたオープニングセレモニーに出席した。
「Japan Now」部門は、現在の日本を代表する作品を映画祭独自の視点で選考した部門で、今年は映画祭が30周年の節目を迎えるのにあたり、【銀幕のミューズたち】と題して、“日本の今”を代表する女優4人の作品を特集する。
同世代の4人は(1986年生まれの安藤以外は1985年生まれ)、若い頃よりお互いを意識し合い切磋琢磨しながら女優としてのスキルを磨いてきたわけだが、壇上で安藤は「みんながこんなにそろうことはないと思います。これからもこんな機会はなかなかないと思いますよ」と、興奮の面持ちで挨拶すると、「ここにいる人たちは、映画の世界における同世代の開拓者のようです。ライバルとかではないですね」と、柔らかい雰囲気で語っていた。
蒼井は「20代後半から30代に入ってからは、同世代の俳優がいるということを心強く感じています。この4人を使って監督してやろうって人がいれば!(笑)。’85年組の女優さんがすごく好きなんです」と、仲間とは違う何か戦友のような絆を持っているようだった。
満島は「ここにいるみんなのそれぞれのお芝居が大好きです」と打ち明けると、「子どもの頃から映画というものに救われてきたので、今はその大好きな映画の世界にいられて嬉しく思います」と感謝。さらに「日本の女優は身体が薄いし、背も小さいんですが、小動物が持っている湧き上がるような狂気や、形容できない愛情の塊というものを、いつもスクリーンで観ていて感じるんですよね」と、日本の女優にしか出せない空気感に誇りを抱いていた。
そして、蒼井がデビューした頃から何度か共演を果たしている宮﨑は「レッドカーペットにはたくさんの人たちが集まってくれて、このお祭りに参加できて改めて幸せだなと思いましたし、この4人で立つことができて光栄でした」と笑顔を見せると、「このお祭りによって、映画がもっと皆さんの身近なものになればいいなと思っています」と、映画界全体の発展を促していた。
セレモニーにはその他、映画祭アンバサダーの橋本環奈、オープニング作品『鋼の錬金術師』から曽利文彦監督、出演の山田涼介、本田翼、ワーナーブラザース ジャパンの高橋雅美社長、オープニングスペシャル作品『空海 -KU-KAI-』から出演の染谷将太、阿部寛、松坂慶子、ホアン・シュアン、シン・ポーチン、コンペティション部門審査委員長のトミー・リー・ジョーンズ、同部門審査員のレザ・ミルキャリミ、ヴィッキー・チャオ、マルタン・プロヴォ、永瀬正敏が出席したほか、世耕弘成 経済産業大臣、林芳正 文部科学大臣も臨席した。