Jul 30, 2017 news

満島ひかりは演じるために生まれてきた人。大先輩俳優から最上級の賛辞!

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コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第118回

女優の満島ひかりが、7月29日にテアトル新宿で行われた、映画『海辺の生と死』の初日舞台挨拶に登壇した。

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本作は、太平洋戦争末期の奄美群島・加計呂麻島を舞台に、極限まで追い詰められる夫婦の姿を描いた、傑作小説「死の棘」を発表した作家の島尾敏雄氏と妻・ミホ氏との出会い、そして、2人の恋の物語を紡いだ作品で、映画の中でミホ氏をモデルにした【大平トエ】を演じた満島は「戦争などに負けずピュアな愛を貫いた人というか、人類愛とかも含めて愛に生きた人だと思います」と、その人物像について語っていた。

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一方、敏雄氏をモデルにした【朔中尉】を演じた永山絢斗は「浜辺でのトエとのシーンは大事なシーンだったんですが、スタッフさんたちが目に入る機材とかをどけてくれて、やりやすい環境を作ってくれたんです。ありがたく、すごく贅沢な経験でした。目に見える情報でこんなにも違うんだと思ったので、どの現場でもやってほしいです(笑)」と、加計呂麻島での撮影を振り返っていた。

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そして、【トエ】の父を演じたベテラン俳優の津嘉山正種は「母親が明治生まれで、終戦の時は私は1歳だったんですが、母親から『あなたが泣き虫じゃなかったから生き延びることができたんだよ』と言われたんです。私を抱きながら自分の背中は壕の外に出た状態で『お願いだから泣かないで』と祈っていたそうです。母親はもう亡くなっているんですが、もし生きていたらこれをどう思うだろうかと考えていたと思います」と、亡き母へ想いを馳せていた。

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また、満島に対して津嘉山は「私は役者を目指して沖縄から出てきてもう50何年になりますが、俳優というものには2種類あって、努力して演じることができる人と、演じるために生まれてきたような人がいます。私の近くで言うと、西田敏行という男は演じるために生まれてきたと感じることがありますが、今回短い時間でしたが共演してみて、満島さんにも同じことを思いました。オーラというか目の力というものを無意識に持っているんです。沖縄出身の女優として、これから物凄く大きな花が開くと思うので頑張ってください」と、先輩として最上級の言葉を贈っていた。

なお、スペシャルゲストとして、満島に歌唱指導をした島唄の第一人者・朝崎郁恵さんが登場し花束をプレゼントすると、壇上では生唄を披露。後ろで目をつむりながらその唄に聴き入る満島の姿があった。

朝崎さん曰く、満島は唄を覚えるのが早く、10曲ほどやったがすぐにマスターしていたとのこと。

舞台挨拶にはその他、越川道夫監督、出演の井之脇海、川瀬陽太が登壇した。

映画『海辺の生と死』

映画『海辺の生と死』(フルモテルモ/スターサンズ配給)は、太平洋戦争末期の奄美群島・加計呂麻島を舞台に、極限まで追い詰められる夫婦の姿を描き、小栗康平監督により映画化もされた、島尾敏雄の私小説「死の棘」をベースに、新たな作品として再び映画化した作品。

監督・脚本:越川道夫 脚本監修:梯久美子 出演:満島ひかり、永山絢斗、井之脇海、秦瀬生良、蘇喜世司、川瀬陽太、津嘉山正種 ほか

佐々木誠

「日刊 情報プレス」編集者 (有)情報プレス社が発行する「日刊 情報プレス」は、映画業界のニュースやイベント、興行成績、劇場公開情報など、映画に関する様々な情報を掲載。また、Facebookページでは、【情報プレスα】(www.facebook.com/joho.press.jp)として、映画の舞台挨拶やイベントの模様を面白可笑しく掲載中。日々アップしている。