コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第82回
女優の蒼井優が、5月27日に丸の内ピカデリー1で行われた、映画『家族はつらいよ2』の初日舞台挨拶に登壇した。
前作で「熟年離婚」の危機を脱した平田家だったが、次に彼らを待っていたのは「無縁社会」というテーマだった。 その言葉からはどうしても孤独や死をイメージしてしまうが、ところがどっこい、“笑い”に関しては前作よりもさらにパワーアップしているようだ。
蒼井も「上映後に皆さんがこんなに明るい表情をしている舞台挨拶は初めてです。何か報われた気がします」と、喜びをかみしめていた。
そんな蒼井は本作で、平田家の次男【平田庄太】の嫁【憲子】を演じているが、夫役を務めた妻夫木聡は「優ちゃんとは恋人同士をやることが多くて、結婚も今回で2回目なんですよね。今のところ離婚はしてないですが、これだけたくさんやっていても、1回もキスシーンはないんですよ(笑)。不思議な関係です」と、無縁ではなく、蒼井との縁を感じるエピソードを語るも、「夫婦になったらもうそんなこと(キス)しないんじゃない?(笑)」と指摘する山田洋次監督の姿もあった。
一方、蒼井の“縁”はその山田監督にあるようで、「10代の頃に、山田監督の『学校』という作品のオーディションを受けたんですが落ちました(笑)。私は山田監督の映画が物凄く大好きだったので、どうしても出たかったんです。お小遣いをもらったら山田監督の映画を観に行っていたくらいですし、このまま仕事を続けていくべきかと、一度立ち止まって考えていた時にも、ちょうど山田監督から『おとうと』のオファーを頂いたんです」と明かしていた。
蒼井を落としたことに関しては、山田監督も「それはもう失敗でした」と後悔していたのだった。
また、実は『パート3』の製作も水面下で進められているようで、【平田周造】役の橋爪功も「今回の映画がヒットしたらパート3が」と訴え、蒼井も「(今日より)報われるのはパート3が出来ることです」と、SNSとは“無縁”の先輩俳優たちに代わって映画の拡散を呼び掛けていた。
舞台挨拶にはその他、出演の吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、小林稔侍、徳永ゆうき、中村鷹之資が登壇した。
映画『家族はつらいよ2』(松竹配給)
映画『家族はつらいよ2』(松竹配給)は、前作のキャストが再結集し、またまた平田家で巻き起こる新たなる騒動を描いた、山田洋次監督による喜劇映画『家族はつらいよ』の続編。