コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第81回
『X-MEN』を代表するキャラクター【ウルヴァリン】を長年演じ続けてきたヒュー・ジャックマンが、5月25日にザ・ペニンシュラ東京で行われた、映画『LOGAN/ローガン』の来日記者会見に出席した。
「日本には何度来たか。たぶん世界中で一番訪れていると思います。東京がツアー最後の地、ウルヴァリンの17年間の旅の終わりの地となります」と、感慨深く挨拶したヒュー。
ウルヴァリンから引退する今の気持ちについては「『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年公開)を日本でも撮影していましたが、その直後に監督と今回の映画の話を始めたんです。最後になるから最高のものにしたいと、新鮮で深いものを作りたかったんですが、完成品を観た時は安堵感を覚えました」と、ウルヴァリンの最終章に相応しい出来に満足げな表情を浮かべると、「監督には最高の贈り物をもらいました」と、メガホンを執ったジェームズ・マンゴールド監督に感謝していたヒューだった。
また、ミュージカル俳優としても受賞歴のあるヒューは「僕が『オクラホマ!』(1998年)という作品でナショナル・シアターに出ている時に、イギリス演劇界では有名な演出家であるトレヴァー・ナン氏から『舞台をやっている俳優はルーツになるような役を5つは持っているもの』と教わりましたが、僕のルーツはこのウルヴァリンしかないかもしれません。しかし、ウルヴァリンと出会えたことは僕の人生においても喜びであり、感謝すべき役になりました」と、思い出を交えつつ当時を振り返ると、「最初は『X-MEN』のことを知らなくて、コミックも読んだことがなかったくらいだったので、こんなに長く続くなんて驚くべきことです。今回で最後になるので、この作品をウルヴァリンの決定版にしたいと思いました。自分に孫ができた時に、ホコリをかぶったDVDを渡して「これを観ろ」と言えるような作品にしたかったんです」と、今度は優しい眼差しで未来を見据えていた。
一方、マンゴールド監督は「今回の作品に取り組む際、どういう映画を作ろうかと考えた時、(ウルヴァリンという)キャラを称えるものにしようと思いました。それにはこれまでの伝統を壊す必要がありました。今までは街を救ったり、彼自身を救うような話を描いてきましたが、今回はそういうものではなくて、とにかくキャラを称える作品にしようと、ヒューもそれを求めていたんです」と、最後となったウルヴァリンの描い方について胸の内を明かしてくれたのであった。
映画『LOGAN/ローガン』
映画『LOGAN/ローガン』(フォックス配給)は、『X-MEN』シリーズを代表するキャラクター、ウルヴァリン/ローガンを主人公に描いた、『ウルヴァリン』シリーズの第3弾作品にして最終章。