コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第56回
『夜は短し歩けよ乙女』の公開記念舞台挨拶が4月8日、TOHOシネマズ 新宿で行われた。
舞台挨拶には、湯浅政明監督、声優キャストの星野源、花澤香菜、秋山竜次(ロバート)が登壇。キャスト陣は自身が演じたキャラクターをイメージした衣装で登場した。 また、花束ゲストとして、原作者の森見登美彦氏も登壇した。
【黒髪の乙女】をイメージした可愛らしい衣装を身にまとった花澤香菜は「これは、乙女のデザインを基にして作られた衣装なんですけど、本当に売るらしいので良かったら是非。皆さんが着た姿も見たいです」と、観客に購買を促すと、「汗ジミだけは気をつけてください(笑)」と、注意も促していた。
さらに、花澤は、“印象深い夜の思い出”について聞かれると「一昨日の夜なんですけど、寝ぼけながらビデオに録画した番組を整理しようと一つずつ消していたんですが、何か消す速度が遅いなぁと思って見てみたら、“全部消す”になってたんですよ。メガネを外してやってたから気付かなかったんです。(録画しておいた)吉本新喜劇が全部!! 何回「乳首ドリル」があったことか!! 本当に苦い思い出です(笑)」と、頭を抱えていた。
同じ質問に、【先輩】の声を担当した星野源は「夜更かしが大好きで、翌日に何もないといつも朝の4時くらいまでテレビを観たりゲームをしたりしてるんですが、昨年末の12月31日は紅白に出場して、そのままTBSの『カウントダウンTV』にも出ないといけなかったので、紅白の放送が終わった瞬間に、NHKから車に乗って別のテレビ局に向かっていたので、車中で年を越しました。身内のスタッフ4人くらいで『明けたねぇ』って言ったり、すごく落ち着いた年越しだったので、その時は本当に素敵な夜でした」と明かしていた。
【パンツ総番長】の声を担当した秋山竜次は「幼少時代から夜になると、「ヒュー」って言っちゃうんです。喘息持ちだったので。いつもお母さんとかおばあちゃんにおんぶされてました。それとずっと戦ってましたね」と、幼き頃の苦悩を振り返っていたのだった。
その後、ステージに原作者の森見登美彦氏が登場し湯浅監督に花束を贈呈すると、会場からは拍手喝采が。 本作を鑑賞した森見氏は「中毒性の高い作品だと思いました。最初に試写で観た時はビックリしたんですが、何回も観ているとすごく面白くなるというか、観れば観るほど味が出てきます」と、正直な感想を漏らしていた。
そんな森見氏の小説に対し、星野は「小説を読んでいても、読み始めから読み終わりまで、実際の京都とは違う、森見さんの心の中の世界に連れて行ってくれるのですごく好きでしたし、今回の映画では、それに加えて湯浅監督のブーストがかかっていたので、この世じゃないところに連れて行ってもらった感じがしました」と語っていた。
最後に、秋山は「パンツ総番長として、皆さんにも上映期間中は、パンツを少し履き替えずに観てもらいたいですね」と訴えながら、「夜は短いかもしれませんが・・・」と前置きすると、「期間長いし来てよねお客」と、作品のタイトルをもじって会場を笑わせていた。
そして、花澤は「映画を観終わった後は、色々な感性が刺激されました。今なら何でもできると思わせてくれるような素敵な作品です」と、優しいメッセージを届けていた。
吉本新喜劇を全て消去してしまった苦い思い出もなんのその、舞台挨拶が終わる頃にはすっかり立ち直っていた様子の花澤なのであった。
映画『夜は短し歩けよ乙女』(東宝映像事業部配給)
映画『夜は短し歩けよ乙女』(東宝映像事業部配給)は、黒髪の乙女に思いを寄せる冴えない大学生の物語をユーモラスに描いた、人気作家・森見登美彦による初期のベストセラー小説をアニメーション映画化した作品。