コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第47回
『キングコング:髑髏島の巨神』のジャパンプレミアが3月15日、新宿歌舞伎町ゴジラ・ロードで行われた。 当日は、レッドカーペットイベントが実施され、出演のトム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン、日本語吹替版キャストのGACKT、佐々木希が出席したほか、ゲストとして、藤岡弘、、ダンテ・カーヴァー、大西ライオン、叶美香、宮城大樹、mam(mimmam)が登場した。
気付いたらいつもそこにいる。
ハリウッドが誇る名脇役、サミュエル・L・ジャクソンだ。
1948年生まれの、現在68歳。 俳優としてのキャリアは40年近くにおよぶ。
1979年から活動を開始し、1988年公開の『星の王子 ニューヨークへ行く』をはじめ、『グッドフェローズ』、『パトリオット・ゲーム』、『トゥルー・ロマンス』、『ジュラシック・パーク』、『パルプ・フィクション』、『ダイ・ハード3』、『ジャッキー・ブラウン』、そして、『スター・ウォーズ』シリーズに『アベンジャーズ』シリーズなど、今現在までに話題作や超大作への出演が後を絶たない人気俳優である。
しかも、『交渉人』や『英雄の条件』、『シャフト』、クエンティン・タランティーノ監督の『ヘイトフル・エイト』では主演を務めるなど、その眼光鋭き存在感は脇役だけにとどまってはいない。さらには、その独特な声を生かして声優としても大活躍しているサミュエルだ。
なぜ彼はこれほどまでに作品に恵まれ、重宝がられるのか。
今回の『キングコング』のジャパンプレミアでは、主演のトム・ヒドルストンやヒロインのブリー・ラーソンを抑えて、この日一番の歓声を浴びていたサミュエル。その人気の高さが窺えた。 ステージ上では、開口一番「オハヨー!!」と、日本語で盛大に挨拶するが、それは朝の挨拶であることをこっそり指摘されると(ジャパンプレミアは夜に開催)、自分の腕時計を確認し「LAでは朝だからね」と、茶目っ気たっぷりな言い訳で会場を沸かせていた。
日本語吹替版で、トム演じる【ジェームズ・コンラッド】の声を担当したGACKTも、サミュエルの人柄について「気さくでフレンドリーだった」と明かしていた。
さらに、ステージ上では、凍えるような寒さの中、露出の多いドレス姿でガタガタと震えていたブリーに対し、そっと上着をかけてやり、「俺は寒くないから」と語るなど、ユーモアだけではないジェントルマンな一面ものぞかせていたのだった。
重宝がられる理由。 確かな演技力はさることながら、そこにはサミュエルの人柄も関係しているのかもしれない。
また、サミュエルは、日本が誇るアクション俳優、千葉真一の熱狂的なファンとしても知られており、タフガイを演じる時はいつも、千葉の“姿”を取り入れているという。 特に、『アベンジャーズ』で演じている、諜報機関S.H.I.E.L.D.の長官【ニック・フューリー】は、千葉がかつて演じていた【柳生十兵衛】を参考にしているようだ。
最新作の『キングコング:髑髏島の巨神』でも、“あること”に執念を燃やすタフガイ、【プレストン・パッカード大佐】を熱演している。 実際にここにも、千葉の“姿”が投影されていたのだろうか。 皆さんも是非その目で確かめてほしい。
ちなみに、バイプレイヤーというのは和製英語で、「脇役」を英語で正しく言うと、 a supporting actor(actress) となります。
映画『キングコング:髑髏島の巨神』(ワーナー配給)
映画『キングコング:髑髏島の巨神』(ワーナー配給)は、モンスターの王者キングコングの起源を、コングの故郷である髑髏島を舞台に描いた、アドベンチャー・アクション大作。